1991年
この年米ビルボード誌では集計方式を大きく変更したために、アルバム・チャートで初登場1位が乱発するという事態が起こった。これまでに6枚しかなく神聖なものであった偉大な記録が汚されてしまった思いである。 NWAの「主張あるニガー」に始まり、スキッド・ロウの「スレイブ・トゥー・ザ・グラインド」、ヴァン・ヘイレンの「F@U#C%K」、ナタリー・コールの「アンフォゲッタブル」、メタリカの「メタリカ」、ガース・ブルックスの「アメリカの心」、ガンズ&ローゼズの「ユーズ・ユア・イリュージョンII」、U2の「アクトン・ベイビー」、マイケル・ジャクソンの「デンジャラス」と実に9枚も初登場1位になったのである。 これまでチャートを参考にしてアルバム購入を決定していたといっても過言ではない私にとって、これはリアルタイムの音楽への興味が薄れていく大事件であった。事実この年以降では、購入したリアルタイムのアルバムは激減し、最終的には好きなアーティストの新譜ですらチェックすらしなくなってしまうのである。 と、同時に生産中止になっていたアナログ針がなぜかこの少し後だったかに再度生産されるようになり、アナログ収集熱が以前にも増して加熱し、禁断の各国盤やデフ・ジャケにも手を出すようになるのであった。 ま、関東での生活にも慣れ、中古屋もかなり発掘したというのも大きいが。(笑) この年の年間ランキングでは、シングルがブライアン・アダムスの「アイ・ドゥー・イット・フォー・ユー」が、アルバムがマライア・キャリーの「マライア」がそれぞれ首位を獲得。 この年の主なヒット曲とアルバムは次の通り。 シングル アイ・ドゥー・イット・フォー・ユー/ブライアン・アダムス 1位 他に愛は止められない 2位 アイ・ウォナ・セックス・ユー・アップ/カラー・ミー・バッド 2位 他にアイ・アドア・ミ・アモーレ 1位 エブリバディ・ダンス・ナウ!/C&Cミュージック・ファクトリー 1位 他にヒア・ウィ・ゴー、レッツ・ロックン・ロール 3位 ゴー・Hmm... 4位 あふれる想い/ポーラ・アヴドゥル 1位 他にザ・プロミス・オブ・ザ・ニュー・デイ 1位 ワン・モア・トライ/ティミー・T 1位 サムデイ/マライア・キャリー 1位 他にアイ・ドント・ワナ・クライ 1位 エモーションズ 1位 アンビリーバブル/EMF 1位 モア・ザン・ワーズ/エクストリーム 1位 他にホール・ハーテッド 4位 ベイビー・ベイビー/エイミー・グラント 1位 他にエブリ・ハートビート 2位 ビコーズ・アイ・ラブ・ユー/スティーヴィー・B 1位 ふたりのときめき/ロクセット 1位 他に消えゆく花のように 2位 ジャスティファイ・マイ・ラブ/マドンナ(発売は前年) 1位 他にレスキュー・ミー 9位 ウィンド・オブ・チェンジ/スコーピオンズ 4位 アイム・ユア・ベイビー・トゥナイト/ホイットニー・ヒューストン 1位 他にこの愛にかけて 1位 ユア・イン・ラブ/ウィルソン・フィリップス 1位 他にインパルシブ 4位 ラブ・イズ・ア・ワンダフル・シング/マイケル・ボルトン 4位 他にタイム・ラブ&テンダネス 7位 サッドネス・パート1/エニグマ 5位 オール・ナイト・ロング/キャシー・デニス 2位 他にトゥー・メニー・ウォールズ 8位 ジャスト・アナザー・ドリーム 9位 クリーム/プリンス&ニュー・パワー・ジェネレーション 1位 リズム・オブ・マイ・ハート/ロッド・スチュワート 5位 他にモータウン・ソング 10位 アルバム アメリカの心/ガース・ブルックス 1位 他にノー・フェンセス 2位 エブリバディ・ダンス・ナウ!/C&Cミュージック・ファクトリー 2位 テン/パール・ジャム 2位 エンパイア/クイーンズライチ 7位 アイム・ユア・ベイビー・トゥナイト/ホイットニー・ヒューストン 3位 タイム・ラブ&テンダネス/マイケル・ボルトン 1位 ハート・イン・モーション/エイミー・グラント 10位 スペルバウンド/ポーラ・アヴドゥル 1位 リズム・オブ・ザ・セインツ/ポール・サイモン 4位 アンフォゲッタブル/ナタリー・コール 1位 エモーションズ/マライア・キャリー 4位 クーリーハイ・ハーモニー/ボーイズ II メン 3位 ラック・オブ・ザ・ドロー/ボニー・レイット 2位 フレッシュ&ブラッド/ポイズン 2位 イントゥー・ザ・ライト/グロリア・エステファン 5位 スカイ・イズ・クライング/スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブル 10位 主張あるニガー/NWA 1位 スレイブ・トゥー・ザ・グラインド/スキッド・ロウ 1位 ユーズ・ユア・イリュージョン I/ガンズ&ローゼズ 2位 ユーズ・ユア・イリュージョン II/ガンズ&ローゼズ 1位 F@U#C%K/ヴァン・ヘイレン 1位 メタリカ/メタリカ 1位 アクトン・ベイビー/U2 1位 ネバーマインド/ニルヴァーナ 1位 ソウル・ケージ/スティング 2位 デンジャラス/マイケル・ジャクソン 1位 と、まぁ、これぐらいにしておきましょう。 この年オリジナル、カバーNo.1ヒットが新たに加わります。通算8曲目。 8. 男が女を愛する時/パーシー・スレッジ(66年/2週)→マイケル・ボルトン(91年/1週) さて、オーナーさんの10選との比較ですが、この年は1枚も一致せず。(笑) 「エモーションズ」「イニュエンドゥ」「テン」「トゥー・ルームス」の4枚は持っていて愛聴盤でありますが、あとの6枚は現在まで未聴です。持っている4枚はどれも当時よく聴いていてお気に入りなんですが、泣く泣く落としました。特にパール・ジャムはハマったなぁ。 1. Use Your Illusion I/Guns N' Roses http://www.hmv.co.jp/product/detail/8782 驚異の2枚同時リリースの1枚目に当たるが、レコードは2枚組なので計4枚分の楽曲をリリースしたことになる。ガンズのこれまでの4年間のワガママが目一杯詰まった病的で危険なアルバムだ。UK2位、US2位 2. Use Your Illusion II/Guns N' Roses http://www.hmv.co.jp/product/detail/8781 2枚同時リリースの2枚目。無駄に長い曲が多いのがやや難点か。(おい) しかし楽曲は良い。ライヴではお馴染みのディランの「天国への扉」が収録されているがこれがこんなにカッコよくアレンジされるなんて・・・。(絶句)UK1位、US1位(2週) 3. Achtung Baby/U2 http://www.hmv.co.jp/product/detail/26163/ref=26161 前作で「アメリカ再発見の旅」が終わり、ここからは「電脳三部作」の始まりである。(笑)ダンス・ビートを全面に押し出してやや地味な印象があるかもしれないが傑作である。UK1位、US1位(1週) 4. 24 Nights/Eric Clapton http://www.hmv.co.jp/product/detail/83894 ロンドンはロイヤル・アルバート・ホールで計24日間行われたライヴをピックアップした傑作ライヴ。ロックだけでなくブルースやオーケストラもありのクラプトンの魅力が満載。 5. Nevermind/Nirvana http://www.hmv.co.jp/product/detail/14442 もはや神格化された感のある故カート・コバーン率いるニルヴァーナを世界の頂点へ導いた2nd。熱心に聴き込んで好きだけど過大評価されてるよなぁ。。。US1位(2週) 6. Shepherd Moons/シェパード・ムーン...Enya http://www.hmv.co.jp/product/detail/674973 エンヤのユニークな個性が充実した傑作で3枚目の作品。心の扉をノックして魂を浄化してくれるようなそんなアルバム。澄んだ美しい想像の世界がどこまでも広がってるような・・・。US17位 7. Stranger In This Town/Richie Sambora http://www.hmv.co.jp/product/detail/165848 歌うアーバン・カウボーイ、ボン・ジョヴィのギタリスト、リッチーの初ソロ・アルバム。意外とブルージーな作品でもしかしたらジョンより歌上手いかも。(笑) チャートでは振るわなかったのが残念。 8. Heart In Motion/Amy Grant http://www.amazon.co.jp/Heart-Motion-Amy-Grant/dp/B000002GJB/ref=sr_1_5?ie=UTF8&s=music&qid=1218960889&sr=1-5 元々はゴスペル・シンガーとして活躍していた彼女がポップ・ミュージック寄りの作品を作ったらこうなったってところか。シングル・ヒットも連発して記憶に残る曲も多いが、優しく時には強く語りかけてくれるようなそんな作品。US10位 9. The Sky Is Crying/Stevie Ray Vaughan & Double Trouble http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0-%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%B3-%E3%83%80%E 3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB/dp/B00005G3UU/ref=pd_sim_m_5 天才スティーヴィーの没後に発売された遺作で5枚目の作品。これまでの未発表の作品の中から兄ジミー・ヴォーンが選曲。楽曲はどれも素晴らしいが中でも「リトル・ウィング」のカバーはオリジナルを越えているかのような鬼気迫るプレイだ。US10位 10. Five Man Accoustical Jam/Tesla http://www.hmv.co.jp/product/detail/288312 ハード・ロック・バンドによるアコースティックがブームになっている最中発売された全編アコースティック・ライヴの作品。バンド名の由来からも「電気」がウリのハズなのに電気を切ったら売れてしまったという。他はそんな売れてないのでこれもブームが生んだ悲劇だな。。。US12位 オマケ・シングル10選 1. You Could Be Mine/Guns N' Roses 2. More Than Words/Extreme 3. Wind Of Change/Scorpions 4. Every Heartbeat/Amy Grant 5. From A Distance/ディスタンス...Bette Midler 6. One More Try/Timmy T. 7. I Don't Wanna Cry/Mariah Carey 8. You're In Love/Wilson Phillips 9. Rhythm Of My Heart/Rod Stewart 10. Sadness Part 1/Enigma |
MFCオーナーの感想 |
さぁさぁ、イアラさんのベスト・アルバム企画、1991年に突入です。イアラさん、ありがとうございます。 前回も書きましたが、90年代は僕にとっては、正に“空白の時代”だったかもしれません。それほど、各年毎の記憶が薄いのです。が、音楽界は話題が豊富でしたね。今にして思うと(笑) イアラさんも触れてますが、ビルボードのチャート集計方法の変更、これはショックでした。何しろ、アルバム・チャート初登場No.1アルバムがゴロゴロと出てきたのですから。イアラさんと同じく、僕もこの頃からチャートに対する興味は徐々に薄れていきました。でも、チェックはしてましたけど(笑) 不確かな記憶ですが、この頃からチャートでのカントリー勢の活躍が目立ってきたのではないでしょうか。びっくりしましたよ、ガース・ブルックスのアルバム・チャート初登場No.1には。誰?ってマジで思いましたもん(笑) ここには出てきませんが、ヴィンス・ギルなんかも売れていたような。ジョン・アンダーソンなんて、どこかで聞いた事あるような名前の人もいましたね(笑) まぁ、カントリーの世界では有名な人たちだったんでしょうけど、それがナショナル・チャートにも飛び火したという所だったのでしょうか? 1991年といえば、湾岸戦争が始まった年、強いアメリカを象徴するかのような、カントリーブームでした(意味不明)。 さて、イアラさんの10選ですが、僕と一致するのはゼロだったという事ですが、『アクトン・ベイビー』と『ハート・イン・モーション』は聴いてます。僕が1991年の10選を決める時、『アクトン・ベイビー』は最後まで残ってました(笑) しかし、こうしてみると、結構話題盤あったんですよね。ガンズといいニルバーナといい...ここには入ってないけど、マイコーの『デンジャラス』も1991年でした。イアラさんの選んだ10枚は、聴いてない物でも、名前は知ってますよ(笑) と、何もなかったような1991年でしたが、最後に来て衝撃的なニュースが...そう、フレディ・マーキュリー、エイズによるカリニ肺炎で死去...結局、この事だけが、印象的な年でした。そして、それからしばらく、僕はクイーン漬けになるのです(笑) という訳で、次回もよろしくお願いします(なんか、90年代に入ったら、いきなりコメントが短いぞ...爆) |