みんなの名盤

投稿No.111 fxhud402さんの

市俄古今昔

みんなの名盤とは名ばかりに、古いCMやアニメの紹介にばかり血道を上げてきた最近の僕。次回からは音楽ネタに戻ります、とは言ったものの、かねてからの懸案をただ脳内でもてあそぶ日々が続いていた。

しかし、それももう終わる。というか取り合えずなんかやってみようということで、長年のお蔵入りアルバム「22」の発売や、それに伴うオーナーさんのブログ「シカゴの謎」をきっかけに、にわかにマイブームになっているシカゴの好きな曲をゆーとべの映像とともに振り返ってみようと思う。

ぼくらに微笑を
http://jp.youtube.com/watch?v=9kMT4m8QKT4
大好きなライヴ盤「26」のオープニングがこの曲でした。初期のシカゴは政治的なイメージで語られがちですけど、こういうポジティブな感じが本来の持ち味なんじゃないかと。

拝啓トルーマン大統領
http://jp.youtube.com/watch?v=o38X0whTrH4
追憶の日々
http://jp.youtube.com/watch?v=19hOHyJ_aZI
大好きなアルバムの一つ「8」から。どちらもオールド・タイミーな感じがいい。「拝啓トルーマン大統領」は日本のファンからの手紙(トルーマン大統領は日本に原爆を投下する決断を下した人物である、という)をきっかけにライヴでは演奏されなくなった、とか。

サンダー・アンド・ライトニング
http://jp.youtube.com/watch?v=tdU2wr6I0WU
アメリカン・ドリーム
http://jp.youtube.com/watch?v=N_pcXekjrA4
「16」で復活する直前のアルバム「14」より。今の感覚で聴くとそんなにだめには聴こえない。むしろ「サンダー…」なんて一番好きな曲の1つだ。ただ、それぞれの曲の一番おいしい部分がどちらも曲の終わるところというか、「サンダー…」でのジミー・パンコウのソロだったり、「アメリカン…」の最後にピーターが歌うところだったりするのが残念な結果を生んだのかもしれない。

忘れえぬ君に
http://jp.youtube.com/watch?v=UDs8YZaqmeM
これも「26」を聴いて改めていいと思った曲。この映像の音声は、ピーターが参加した最後の公演の2週間前のものだとか。

インターミッション
http://jp.youtube.com/watch?v=02bnNES13ZY

長い夜
http://jp.youtube.com/watch?v=iQqbVVNUQRI
アルバム「18」でのリメイク・バージョン。最近改めて聴いてみて音響重視というかこれはきっとライヴ映えするぞと思ったけど、やはりその通りだった。

イッツ・オールライト
http://jp.youtube.com/watch?v=a2EgqMezJmI
一番好きな曲。これだ!これを紹介したかったのだ。「スティル・ラヴ・ミー?」だけが「18」ではないのだ。このモリモリと盛り上がる感じ、鋭く切れ込んでくるホーン、これこそがシカゴだ。

ザ・プル
http://jp.youtube.com/watch?v=uB5dZ6qRWnw
お蔵入りになった「22」からの曲。こうしてすでにライヴでは披露されていた。

ムーンライト・セレナーデ
http://jp.youtube.com/watch?v=fN2un3lnqw0
「22」に代わってジャイアント・レコードから出された企画盤「ナイト&デイ」の曲。そして恐らく、今のところ最後の日本でのシングル・ヒットである。当時ラジオではバンバン流れ、シカゴ健在をアピールしたものだった。

オンリー・ワン
http://jp.youtube.com/watch?v=0ukcVH5Zeb8
ショウ・ミー・ア・サイン
http://jp.youtube.com/watch?v=D7KOuiGsWX8
バック・トゥ・ユー
http://jp.youtube.com/watch?v=buLnxEmSBs4
それぞれベスト盤「ハート・オブ・シカゴ」、「ハート・オブ・シカゴパートU」、そしてライヴ盤「26」に収録された新曲。「ナイト&デイ」を最後にシカゴはすべて新曲のアルバムを作る契約を取れなくなってしまい、こういう形でしか新曲を発表できなくなってしまった。バラードばかりを要求するレコード会社に対しバンドが嫌気が差したというのもあるだろうが、(きつい言い方になるが)あまりにベッタリと時代と寝てしまったバンドは見限られるのもまた早かった、ということだろうか。一時は自分たちでレーベルを設立し、件の「26」、そしてクリスマス企画盤「25」を出すものの大失敗に終わり、前記二枚は程なく廃盤になってしまう。その間もライヴは続けていたものの、シカゴとして新しい音楽に取り組む情熱が萎えて行ったのは明らかで、ただの懐メロバンドから聴き手への求心力が生まれるはずもないのだった。

フィール
http://jp.youtube.com/watch?v=JJn7azWR2i8
ストーン・オブ・シシファス
http://jp.youtube.com/watch?v=4DvbhVqjdeg
そういう意味で15年ぶりの新作「30」は、バンドにとって起死回生の一発になったのだろうか?それはわからない。数字の上では目立った結果は残せなかったが、「もうアルバムを作る地力のないバンド」ではないことを証明できたからだ。厳しいスケジュールの中で結局プロデューサー任せになってしまった部分もあるが、そのプロデューサーが多忙でいないスタジオで、ジェイソン・シェフとビル・チャンプリンの「おじさん二人」が最新のプロトゥールスと格闘したことが今後に生かされることを願う。
その一方で、オリジナル・メンバーのジミーとウォルトの引退が現実味を帯びてきているのも事実だ。ここでの「フィール」の映像に二人の姿はない。特にジミーは長年のトロンボーン演奏で、あごや肩の手術が相次いでいるという。ブラス・プレイヤーは体力勝負なところがある。

いつも思うのだが、アンプを通したロックバンドの音と金管の音とはけして相性がいいとはいえない。それを格好良く聴かせる手腕を磨いてきたシカゴの功績は、やはり凄い。あまりにもありふれていて見過ごされがちなバンドなだけに、改めて評価されなければいけないと思う。「22」改め「32」のリリースと今年のツアーが、シカゴの失われた15年を取り戻す力強い一歩であってほしい。が、このバンドが本当に「生きた」バンドとして蘇られるのか、それともただの懐メロバンドになってしまうのか?現状はけして予断を許さない。

おまけ
http://jp.youtube.com/watch?v=UCRmMCdD8iU
オリジナル・メンバーの一人で、アルバム「19」を最後にバンドを去ったダニー・セラフィンは、タワー・オブ・パワーの人とかと"カリフォルニア・トランジット・オーソリティ(CTA)"というバンドでバリバリ活躍中。歌ものバンドのシカゴとは一線を画した、初期のそれを髣髴とさせる演奏志向のバンドだ。
http://jp.youtube.com/watch?v=zjaiT37NTK0




MFCオーナーの感想
fxhud402さん、投稿ありがとうございます。

今回は、久々に“音楽ネタ”で嬉しいです(笑) それも、僕自身マイブームとなっているシカゴがネタですから、余計に感激です。映像もしっかりと拝見させて頂きました(今までは見てなかったのか?)

それにしても、「僕らに微笑を」が日本公演の映像であるのが感激ですね。しかも1972年。初来日でしょうか。テレビで放送されたもののようで、タイトルや訳詩のテロップが時代を感じさせます。音はや悪いですが、迫力は十分に伝わってきますね。70年代初頭はレッド・ツェッペリンをはじめ、海外のロックバンドが相次いで来日公演を行い、日本のロック・ファンの度肝を抜いて帰っていったようですが、シカゴも相当なインパクトを日本のファンに与えたであろう事は、この映像からも察せられます。この時の模様はライブ・アルバムが日本でのみ発売されたようですが、メンバーの話だと、大変出来が良かった(カーネギー・ホールのライブ盤以上に)ので、本国でも発売したかったけど叶わなかった、とのこと。ま、確かに凄い演奏です。テリー・キャスとピート・セテラが髭面というのも、なんとなく可笑しいです(笑)

対して、「拝啓トルーマン大統領」「追憶の日々」は、大晦日ですか? やはり、テレビの企画なんでしょうか? 全員盛装でステージに立っているのが、なんとも(笑) 「拝啓トルーマン大統領」で観客に一緒に歌わせるべく、スケッチブックに書いた歌詞を掲げているのはテリー・キャスですね。この曲ギターパートないのかしらん(笑) ここでのシカゴは、ロック・ヒーローでもポップ・アイドルでもない、いち国民的人気バンドという雰囲気が漂っていて、良いですね。次に買うシカゴのアルバムは、やっぱ『[』にしようかしらん(笑)

不幸にも商業的には失敗してしまった『13』と『14』ですが、決して内容は悪くない、シカゴの名前を貶めるような物では絶対ない、と熱心なシカゴ・ファンで知られる伊藤秀世氏も後に強調しておられましたが、当時輸入盤屋で見かけると、こんなの出てたんだ知らなかったジャケットも地味だなぁ、なんて失礼な事を思っていたのを思い出します^^; 「サンダー・アンド・ライトニング」確かに良いですね。『ホット・ストリート』あたりで見せたフュージョンっぽい感覚が生きてます。以前聴いた『13』収録の「ストリート・ブレイヤー」もなかなか良い曲だったし、『13』『14』もカートに入れておくことにしましょうか(笑)

「イッツ・オールライト」これもいいですね。この当時、こんな曲もやってたんですね。『18』といえば、ピート・セテラが脱退して、より一層無個性化に拍車をかけたような印象がありましたけど、そういうのばかりではない、という事ですね。

90年代の映像を見てますと、やはり知らない曲ばかりなんですが、安定したAOR路線を歩んでいる感じですね。最近、例の『ストーン・オブ・シシファス』買ったんですけど、なんかTOTOみたいな印象を受けました。いえ、別に悪い意味で言ってるのではなく、90年代に入ってから、あれこれ方向性を模索し続けた結果がそうなった、という事だと思いますし、それまでのキャリアを振り返ると、やはり自然な選択だったのだ、と思う訳です。ただ、80年代の路線も、今にして思うと全くシカゴ独自のものであった、というのが分かりました。ああいう事やってたバンドって、他に思いつかないですものね。

という訳で、これからシカゴはどんな道を歩むのか。ほんと、興味津々です。ただ、『]]]』を聴く限り、もう何でもありのごった煮路線でもいいのではないか、なんて思えたりしまして、難しい事考えずに好きなように曲を作っていけばいいんじゃないかと。あのホーンさえあればシカゴになるのですから。その点では、ジェイムス・パンコウやウォルター・パラセイダーの引退問題こそ、シカゴの命運を左右すると思います。どうなるんだシカゴ! がんばれシカゴ!


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