1972年
この年の特徴といえば何といってもグラム・ロック・ブームを挙げなければならない。 中心となったのはデヴィッド・ボウイとT.Rexのマーク・ボランである。 71年の後半からこの両者がステージで両性具有的であでやかな化粧をほどこし、ギンギラギンの衣装をまとって立った姿を「グラマラス」と形容したことから使われるようになったのが「グラム・ロック」だと言われている。 しかし両者の音楽はまるで違っている。 複雑で美しいメロディを持ち演劇的でもあるボウイに対しT・レックスはシンプルなロックン・ロールである。 当時グラム・ロックの代表格とみなされたアーティストにはアリス・クーパー、ゲイリー・グリッター、ロキシー・ミュージック、ルー・リード、ニューヨーク・ドールズ、スレイドなどがそうであるが、みなそれぞれ音楽は違っている。 が、それぞれ何か共通したものを感じずにはいられないのだ。 ところがそのグラム・ロック・ブームはイギリスや日本だけのものでありアメリカでは線香花火程度のものだったと言っても過言ではない。 ボウイに至っては全く不発であり、T・レックスの代表曲「Get It On」がかろうじて最高10位を記録した以外はかすった程度なのだから。 しかしこの中でアメリカで成功したといえるのはアリス・クーパーぐらいであろうか。 音楽性を変えながらスターの座に登りつめたアーティストは他にもいるのだが・・・。 年間チャートではシングルがロバータ・フラックの「愛は面影の中に」が、アルバムがニール・ヤングの「ハーヴェスト」がそれぞれ首位を獲得。 シングル部門ではカーペンターズ、エルトン・ジョン、ドン・マクリーン、ギルバート・オサリヴァンらが、アルバム部門ではキャロル・キング、エルトン・ジョン、キャット・スティーヴンス、カーペンターズ、アリス・クーパー、シカゴ、ロバータ・フラックらがそれぞれ活躍した。 1. Rise And Fall Of Ziggy Stardust And Spiders From Mars/屈折する星屑の上昇と下降そして火星から来た蜘蛛の群れ...David Bowie http://www.hmv.co.jp/product/detail/926349 グラム・ロックのみならず全ロック・ファン必聴のSF的トータル・アルバム。UK5位、US75位 2. Exile On Main St./メイン・ストリートのならず者...The Rolling Stones http://www.hmv.co.jp/product/detail/162038 アメリカ南部を意識したストーンズの最高傑作。ファンでなくとも聴くべし。UK1位、US1位(4週) 3. Close To The Edge/危機...Yes http://www.hmv.co.jp/product/detail/1959481 文句なしにイエスの最高傑作。が、プログレ初心者にはちぃと厳しいかも。UK4位、US3位 4. Chicago V/Chicago http://www.hmv.co.jp/product/detail/586639 5作目にして初の1枚ものであり、初の全米No.1作品。ブラスが弱まってややポップになったのが特徴でここからシカゴ離れする男性ファンが多かったとか。。。US1位(9週) 5. Harvest/Neil Young http://www.hmv.co.jp/product/detail/30224 ニール・ヤングの代表作の1つで全編カントリー・タッチなのだが日本でも売れに売れたのは何故? (笑)US1位(2週) 6. Transformer/Lou Reed http://www.hmv.co.jp/product/detail/28207 もーほーによるもーほーが作り上げたもーほーのためのアルバム。(笑) US29位 7. Foxtrot/Genesis http://www.amazon.co.jp/Foxtrot-Genesis/dp/B000002J1M/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=music&qid=1206158981&sr=1-1 プログレ四天王に入れてもらえないジェネシス(笑)のピーガブ在籍時の傑作。UK12位、USチャートインせず 8. Caravanserai/Santana http://www.hmv.co.jp/product/detail/1942565 ラテンから宗教に走る橋渡し的な存在の作品なのかもしれないけどギター好きなら絶対聴くべし。U8位 9. Machine Head/Deep Purple http://www.hmv.co.jp/product/detail/79034 世界中のギター小僧に影響を与えたハードロックの教典。UK1位、US7位 10. Jeff Beck Group/Jeff Beck Group http://www.hmv.co.jp/product/detail/1420694 第2期JBG2枚目の作品。意外にカバーが多いが違和感ナシ。ジャケ写真のベックとコージーの区別がなかなかつかなかったなぁ。(笑)US19位 注) 1位は当時長ったらしい邦題があったが現在は「ジギー・スターダスト」へと改題されている。 オマケ・シングル10選 1. Starman/David Bowie 2. Cellroid Heroes/セルロイドの英雄...The Kinks 3. Layla/いとしのレイラ...Derek & The Dominos 4. Night In White Satin/サテンの夜...The Moody Blues 5. Saturday In The Park/Chicago 6. Satellite Of Love/愛の人工衛星...Lou Reed 7. Roundabout/Yes 8. Heart Of Gold/孤独の旅路...Neil Young 9. Without You/Nilson 10. The First Time Ever I Saw Your...Face/愛は面影の中に...Roberta Flack 注) 3位はアルバム発表当時、後半のインスト部分を丸々カットしたシングル・ヴァージョンで発売されているが不発で、この年に改めてアルバム・ヴァージョンを再発している。 4位はアルバム「Days Of Future Passed」発表当時はシングル・カットされておらず、この年になってアメリカで発売されている。 6位は当時邦題があったが現在は使われていない。 |
MFCオーナーの感想 |
お、いよいよ来ましたね、1972年が(嬉) イアラさん、ありがとうございます。 この頃まだ洋楽には目覚めていませんでしたので、全て後追いですが、リアルタイムみたいなもんです(笑) 特に、『ジギー・スターダスト』と『マシン・ヘッド』は、僕にとってもオールタイムな名盤であります。世間で名盤としてもてはやされているアルバムの多くは、どうしても懐疑的に見てしまうという困った性癖があるのですが(笑)、『ジギー・スターダスト』は、ユニークなコンセプトといい楽曲の充実度といい、性別・年代・嗜好を問わず、全ての人にお薦めしたい超名盤ですよね。 ストーンズは、前年に発売されていた『スティッキー・フィンガーズ』を、僕としては推したい所です。この『メイン・ストリートのならず者』は冗長過ぎる感がありまして^^; 冒頭の2曲は、文句なしにカッコいいんですけどね。 ジェフ・ベックで好きなアルバムというと、僕は『ブロウ・バイ・ブロウ』か、この『ジェフ・ベック・グループ』です。全編に漂うメロウ&ファンキーな雰囲気がいいですね。今ではメタルの権化となってしまっているコージー・パウエルも、当時はこんな音楽をやってた訳で、それこそ若い人たちに聴いて貰いたいです。様式メタルに慣れた耳には、退屈でしょうけどね(笑) 余談ですが、サンタナの『キャラバンサライ』に、若き日(16歳でしたっけ?)のニール・ショーンが参加しているのは、よく知られているのかそうでないのか(笑) 聞いた話ですと、サンタナから巣立ったミュージシャンで、後に成功した人は皆無なんだそうで、このニール・ショーンやグレッグ・ローリーといったジャーニー組が唯一の例外なんだとか。だから何なんだ、ってとこですが(笑) つー訳で、次回も楽しみにしてます。よろしくお願いします。 |