みんなの名盤

投稿No.091 イアラさんの

ロックの道は1日にしてならずぢゃ
−1970年編−


1970年

この年の最大の事件は何といってもビートルズの解散であろう。
音楽だけでなくファツションや社会にも影響を与え続けた彼等は、4月のポール・マッカートニーの脱退、ソロ・アルバムのリリースとともに消滅してしまう。前年に「Get Back Session」として録音された作品群が、フィル・スペクターによって手を加えられ、最後のアルバム「Let It Be」として5月にリリース。イギリスや日本では豪華写真集付きのボックス・セットとして発売され(アメリカではダブル・ジャケットの内側に一部その写真が見られる)、 英米では1位となり有終の美を飾った。73年以降の国内再発盤からは帯にキャッチコピーが入り、「さようならビートルズ。哀愁感漂うビートルズ最後の音と映像の世界」となっており、後追い世代の私にも感慨深いものがあった。ビートルズもこれで終わりなんだなぁ、と。また同名のドキュメント映画も製作されており(国内未発売)、それを見るとメンバー間の険悪な様子が伺え、緊張感が漂っているのが分かる。

そして忘れちゃいけないのが、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリンというニュー・ロックのリーダーが相次いで死去するという、悲しい事件もこの年のこと。2人とも67年の「モンタレー・ポップ・フェスティヴァル」でセンセーショナルな登場をし、わずか3年あまりの活動で伝説となった。第3回ワイト島フェスティヴァルは、ジミの最後のプレイが見られることもあり映像化もされているが、その覇気のないプレイに死の予感を感じたものだが、それはあまり関係ないらしい。(笑)
興味深いのは、ジミが出演した「モンタレー」「ウッドストック」「ワイト島」には全てフーが出演しており、素晴らしいステージを見せている。そして「ワイト島」でセンセーショナルなデビューを飾ったのがエマーソン、レイク&パーマーであった。
こうして世代交代を繰り返してロック界は流れていく...。

年間チャートではサイモン&ガーファンクルが「明日に架ける橋」で史上初のシングル、アルバムのトップを制覇。
シングル部門ではジャクソン5、カーペンターズなどが、アルバム部門ではシカゴ、サンタナ、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルなどが活躍している。


1. Layla And Other Assorted LoveSongs/いとしのレイラ...Derek & The Dominos
http://www.hmv.co.jp/product/detail/966376
デラニー&ボニーをとりまくミュージシャンで結成された覆面ロック・バンド・・・のハズがあっさりデレクはクラプトンと見抜かれたらしい。(笑) 元祖不倫ソングのタイトル曲はロック界屈指の名曲。US16位

2. Jesus Christ Superstar/ロック・オペラ "イエス・キリスト・スーパースター"...London Original Recording
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B000002P4H
キリスト最後の7日間を描いた異色のロック・オペラ。映画や舞台で有名な作品だが元々はレコードでのみ登場したものだった。キリスト役にイアン・ギラン。個人的にはパープルのギランよりもカッコいいかも。US1位(3週)

3. Sunflower/The Beach Boys
http://www.hmv.co.jp/product/detail/905664
「投稿No.22」参照。(笑) UK29位、US151位

4. All Things Must Pass/ジョージ・ハリスン...George Harrison
http://www.hmv.co.jp/product/detail/537401
ジョージの才能が開花した3枚組超大作。アップル・ジャムでのギター・バトルは必聴モノ。UK1位、US1位(7週)

5. Kinks Part1 Lola Versus Powerman And The Moneygoround/ローラ対パワーマン、マネーゴーラウンド組第1回戦...The Kinks
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2569690
タイトルにもある5,7,12の3曲を軸にしたトータル・アルバム。ヒネくれた歌詞がいかにもキンクスって感じで各曲のクオリティも高い傑作。UKチャート・インせず、US35位

6. Chicago/シカゴと23の誓い...Chicago
http://www.hmv.co.jp/product/detail/804476
またしても2枚組の強力2ndアルバム。23曲収録されているから「23の誓い」ね。(笑)US4位

7. Live At Leeds/The Who
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1245263
個人的にはロック界最高のライヴ盤。当時はたったの6曲(5,6,11,12,13,14)しか収録されていなかったが、それでも十分フーの魅力を堪能できた。UK3位、US4位

8. After The Gold Rush/Neil Young
http://www.hmv.co.jp/product/detail/30214/ref=334356
ニール・ヤングの出世作となった3rdアルバム。4は超名曲だぁ。US8位

9. Deja Vu/Crosby, Stills, Nash & Young 
http://www.hmv.co.jp/product/detail/189145
CS&Nにニール・ヤングが加わった2ndアルバム。US1位(1週)

10. Led Zeppelin III/Led Zeppelin
http://www.hmv.co.jp/product/detail/189153
アコースティックを中心とした3rdアルバム。UK1位、US1位(4週)

注) 2位は国内未CD化。似たものがたくさんあるので購入には注意されたし。
    4位は当時は邦題があったが現在は使われていない。
     6位は原題が「Chicago II」になっているものがあるがそれは間違い。


オマケ・シングル10選

  1. Let It Be/The Beatles
  2. Teach Your Children/Crosby, Stills, Nash & Young
  3. Border Song/人生の壁...Elton John
  4. Mr. Monday/The Original Caste
  5. Bridge Over Troubled Water/明日に架ける橋...Simon & Garfunkel
  6. The Long And Winding Road/The Beatles 
  7. 25 Or 6 To 4/長い夜...Chicago
  8. Woodstock/Crosby, Stills, Nash & Young
  9. I'll Be There/Jackson 5
10. Yellow River/Christie



MFCオーナーの感想
続きを楽しみにしておられる人も多いでしょう。イアラさんのベスト・アルバム企画、今回からタイトルを改めまして、いよいよ1970年代に突入です。イアラさん、ありがとうございました。
例の、レコードコレクターズ誌のベスト・アルバム企画もそうでしたが、1970年といっても、まだ結構60年代の尻尾を引きずっていたりするんですよね。当然の事ながら、今回のセレクトも、60年代から活動するアーティストのアルバムが大半です。ま、この年いきなり登場した人、と言われても思い出せないですけど。80年代がそうであったように、70年代が60年代の影響から脱却するには、あと2〜3年待たないといけません(笑)
この中で意外だったのは、2位に入っている『ジーザス・クライスト・スーパー・スター』のロンドン・キャスト盤。かつて、FMfanのビルボード年間チャート特集記事を見て、姿を消したと思っていたオリジナル・キャスト盤が年間1位になったこと、あのイアン・ギランが出演していたこと、の2点を知り大変驚いたものです。あの有名なテーマ曲と「I Don't Know How To Love Him」くらいしか知りませんが(汗)、ロック・オペラすら経験した事のない僕としては、一度は聴くべきなのかな、と思ってます。
あと、サイモン&ガーファンクルの『明日に架ける橋』が、シングル、アルバム共ビルボードの年間一位になったのは知ってたのですが、史上初だったというのは今知りました(爆) 少々驚きましたけど^^;
まぁ、色々知らない事はあるものです(笑) ジョージ・ハリスンの『オール・シングス・マスト・パス』に、違う邦題があったとは...ザ・フーの『ライブ・アット・リーズ』は、名盤との評判は聞きつつも長らく未聴でしたが、昨年セッションでやる事になって初めて聴きました。確かに、すさまじいまでのテンションの高さですね。
シングルに目を移してみますと、当時をしのばせる懐かしのヒット曲と、今でもよく知られているスタンダードが混在してるのが、大変興味深い所です。「長い夜」が、1970年の曲だなんて、今でも信じられないですね。今年4月の来日公演でも、この曲演奏されるのでしょうか?(笑)
という訳で、次回1971年編を楽しみにしております。イアラさん、原稿待ってますよ(笑)


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