・「Something Else By The Kinks」 個人的にはキンクスの全アルバム中最も哀メロの多い作品と思える。音的にはフォーク・ロックが中心で ボサノバやトラッドをスパイスした作りになっているが歌詞は英国の人々の生活感が滲み出ている。 こんな作品がサイケ全盛の時代に売れる訳もなくあえなく撃沈。ジャムがカバーした「David Watts」、 デイヴの書いた何とも物悲しい「Death Of A Clown」、ノスタルジックな「Afternoon Tea」、ご当地ソングの 「Waterloo Sunset」など聴きどころ満載。 ・「Village Green Presavation Society」 結果的にはキンクス初のコンセプト・アルバムとなった作品だが、英国のマナーやエチケットを風刺した作品 「Four More Respected Gentlemen」をキャンセルして、詩集「ミルクの森」にインスパイアされて一大コンセプト ・アルバムである本作を作り上げた。が、満足なプロモーションをする時間もなかった為に結果は散々なもの となった。英国の片田舎ヴィレッジ・グリーンを舞台に郷愁感溢れるフォーク・ロックが歌われる。15曲仕様 だが、12曲仕様も存在し、雰囲気は全く違うものになっている。 ・「Arthur Or Decline And Fall Of The British Empire」 ロック・オペラの先駆け的な存在となるハズだった悲劇の作品。元々はTVドラマのサントラとなる予定 だった。英国の平凡な小市民アーサーとその家族の壮大とはいえない歴史を通じてヴィクトリア王朝 以降の英国の変遷を描いていくといった内容で、サウンドもドラマチックに展開していく。フーの「Tommy」 より後で発売されたことから「物真似」と酷評され、現在でも陽の目を見たとはいえない悲劇の作品である。 ・「Presavation Act1」 名作「Village Green Presavation Society」を下敷きにした演劇的要素の濃い作品。ただでさえ日本では B級バンド扱いだったのに、本作を境にキンクスは増々ロック・ファンから離れて行った。安っぽいホーン・ セクションに加え、田舎のホステスのようなお姉ちゃんたちで構成された女性コーラス陣は場末的な 雰囲気を増幅させてくれる。そこがまた良いのだけれど一般受けはしなかった。 ・「Presavation Act2」 前作に引き続き今度は2枚組というボリュームでしかもそれ以上にやりたい放題といった感じ。 安っぽさも更に増して、時折ナレーションも入る豪華さと反面にファンは着いていけず離れていった。 一般のロック・ファンにはややしんどいような気もするが、この偏執ぶりこそがキンクスの真骨頂である と思う。「踏み絵」の如く避けては通れない道なのではないか、ファンにとっては。 |
MFCオーナーの感想 |
イアラさん、2度目の投稿ありがとうございます。布教活動の一環とはいえ、ほんとに恐れ入ります(笑) で、キンクスきましたね。前にも言いましたが、僕も近頃キンクスを聴き始めておりますが、なにせ歴史の長いバンドだけにカタログが多くて、どれを買っていいか迷ったりもしてます。ガイド本が欲しいくらいですが(『レコード・コレクターズ』のキンクス特集は随分前だし、今手元にないし...)、イアラさんのように、詳しい人に色々教えて頂けると、本当に助かります。今日現在、買ったのは↑にもある『アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡』と『この世は全てショー・ビジネス』の2枚だけで、次は『ローラ対パワーマン、マネーゴーランド組第一回戦』か『マスウェル・ヒルビリーズ』、もしくはライブ盤の『ワン・フォー・ザ・ロード』なんて所を狙っていましたが、この度のイアラさんのお薦めアルバムもやはり聴きたいですよねぇ。意外と店で見かける『プリザベイション』を次いってみましょうか(笑) ただ、キンクスの事はよく知らないとはいえ、僕が興味あるのは、やはり60年代から70年代にかけての作品群のようで、いわゆるコンセプト・アルバム志向だった頃、そして硬派のロックファンからはそっぽを向かれた時期、という事になりますか(笑) 上記の5枚も全てその時期のようですし、順に聴いていこうと思っています。 イアラさんも触れられてますが、この頃のキンクス、コンセプトが難解な訳ではないし、ちょっと下世話なサウンド作りも親しみやすくて、とても聴きやすいです。前回も言いましたけど、再度声を大にして言いたい、「皆さん、キンクス聴きましょうよ」(爆) |