PARADISE THEATER/Styx パラダイス・シアター/スティクス(1980) | |
![]() | 70年代から活動するスティクスの名実ともに代表作。 元々プログレ・バンドとしてデビューしたが、徐々にポッ プなヒット曲を出すようになり、このアルバムはその集 大成といえる。ヒットした「ザ・ベスト・オブ・タイムス」を 筆頭に佳曲が揃い、彼らの故郷であるシカゴに実在し た劇場をモチーフにしたコンセプト・アルバム仕立ての 構成と相俟って、実に素晴らしい出来映えだ。リズム・ セクションが弱いのが泣き所だが。 |
4/Foreigner 4/フォリナー(1981) | |
![]() | ミック・ジョーンズ(G)、ルー・グラム(Vo)の二人を中 心としたフォリナーの4作目にして、最大のヒット作。産 業ロックという言葉は彼らの成功から生まれたと言って も過言ではない。過去3作から軌道修正し、タイトなハ ードロック路線で攻めたのが功を奏した。どの曲も覚 えやすく爽快で小気味よく、ルーのボーカルが素晴ら しい。ただバラードの「ガール・ライク・ユー」が大ヒットし た為イメージが歪曲されてしまったのが残念。 |
ASIA/Asia 詠時感〜時へのロマン〜/エイジア(1982) | |
![]() | ジョン・ウェットン、スティーブ・ハウ、カール・パーマー、 ジェフリー・ダウンズというプログレ界の大物たちによっ て結成された、いわゆる“スーパー・バンド”。ロジャー・ ディーンによるジャケットや“Aで始まりAで終わるワン ワード”を用いたアルバム・タイトルでイメージ戦略に成 功し、この1stは年間チャートの首位に立った。サーフ・ プログレとでも言うべきライトな作風が時代にマッチして いたが、もたもたしたハウのプレイはいただけない。 |
FRONTIERS/Journey フロンティアーズ/ジャーニー(1983) | |
![]() | フォリナーと共に産業ロックを代表するバンド。前作『エ スケイプ(1981)』が代表作だろうが、空間を生かした 音作りという点ではこちらが上。無数のアマチュア・バン ドがコピーした「セパレイト・ウェイズ」は彼らのイメージ を決定的にしたが、次作でスティーブ・ペリー主導によ るAOR路線に走るので、本当に産業ロックらしいのは、 本作が最後。キーボード主体の叙情的サウンドが実に 素晴らしい。 |
ISOLATION/TOTO アイソレーション/TOTO(1984) | |
![]() | グラミー賞を総なめにした『TOTOW〜聖なる剣(1982 )』がTOTOの代表作であるのは間違いないが、産業ロ ックなイメージでは本作の方が当てはまる。タイトなリズ ム隊に、隙間なく構築されたシンセとハードなギターが絡 むサウンドは実にスリリングで聴き応え十分。楽器隊ば かりがクローズ・アップされるが、本作から参加したVo のファーギー・フレデリクソンも仲々の実力者である。テ クニックとノリが共存することを証明したバンド。 |
HEART/Heart ハート/ハート(1985) | |
![]() | 80年代に入ってヒットに恵まれなかったベテランが、産 業ロック寄りにシフトして、復活するケースもかなり目立 った。なかでもシカゴ、スターシップ、ハートは“転向3羽 ガラス”とでも呼ぶべきだろう。ハート起死回生の本作も 特徴のない音作り、外部のソングライターによる楽曲と、 ハートならではの必然性が全く感じられないが、そうした 売れ筋の意匠を纏ってもなお、アン・ウィルソンのボーカ ルは素晴らしい。 |
7 WISHES/Night Ranger セブン・ウィッシーズ/ナイト・レンジャー(1985) | |
![]() | ブラッド・ギルスとジェフ・ワトソン、2人のスーパー・ギタ リストを擁したナイト・レンジャーは、とても優秀なハード ・ロック・バンドだった。前作からのバラード「シスター・ク リスチャン」のヒットでブレイクしたが、バラードばかりを 要求するレコード会社の姿勢に嫌気がさし、自らの意志 でバンドを解散させ、数年後に再集結した。産業という カテゴリーにあっても精神はロックそのものだ。本作は バラエティに富んだ内容で聴きやすい。 |
THE FINAL COUNTDOWN/Europe ファイナル・カウントダウン/ヨーロッパ(1986) | |
![]() | 80年代も中期になると、ハード・ロックから産業に転身 を計るバンドも多数登場した。スウェーデン出身のヨー ロッパもそのひとつ。叙情的なハード・ロック・バンドだっ たがアメリカ進出を狙い、売れ筋のアルバムを作った。 それが本作であり、タイトル曲の他「ケリー」「ロック・ザ・ ナイト」がヒットし、その目論みは成功した。曲作りには 元々定評があり、このアルバムもキャッチーな曲が並ん でいる。 |
A MOMENTARY LAPSE OF REASON/Pink Floyd 欝/ピンク・フロイド(1987) | |
![]() | 60年代から活動する老舗が何故産業ロックなのか、と 思われる方も多いだろうが、アルバムのロング・セラー、 スタジアム級のコンサート等、彼らは昔から非常に商業 的なバンドだったのだ。本作は、デイブ・ギルモア主導に よる新生フロイドの第一弾となったアルバムで、当然売 れて、スペクタクルなライブも大評判となった。内容的に はかつての精神性は薄れ、フロイドのブランド・イメージ に頼って形骸化している。悪くはないけど。 |
BAD ENGLISH/Bad English バッド・イングリッシュ/バッド・イングリッシュ(1989) | |
![]() | 元ジャーニーのニール・ショーン、ジョナサン・ケイン、元 ベイビーズで「ミッシング・ユー」のソロ・ヒットを放った ジョン・ウェイト、実績も十分な3人が結成したバンドで あり、この1stもギター弾きまくりのハードな曲からお約 束のバラードまで、バラエティ豊かな内容で聴く者を飽き させない。曲もよく出来ており、それまでの経験はダテ じゃないってことを見せつけた。産業ロック時代の最後 を飾るにふさわしい傑作。 |
MFCオーナーの感想 |
てことで、今回は産業ロックを取り上げてみました。 こうしてみると、色々なバンドがいますよね、産業って。次はソロ・アーティストにスポットを当ててみようか、などと考えております(笑) いわゆる本格派からはバカにされてきた産業ロックですが、今聴いても曲もサウンドも全く古びていません(一部のバンドを除く) ロックには様々な型があるのですから、こういったメロディ重視の分かりやすいロックがあったっていい訳ですし、そろそろひとつのムーブメントとしての産業ロックを冷静に評価してもいい頃なのではないでしょうか? そういった願いも込めて、今回のコメントはレコード・コレクターズ風にしてみました(爆) 皆さんにも、ご自分なりの産業ロックについて語って頂ければ、と思います。 |