まだまだ世間には、名盤と呼ばれるにふさわしいアルバムがたくさんあります。 当サイトの「私選名盤100選」には収まりきれなかった、そしてもしかすると 世間ではすっかり忘れられ、耳にすることはおろか、CDさえ手に入らない... そんなアルバムを並べてみました。 最初10枚セレクトするつもりでしたが、結局15枚になってしまいました。 尚、順位はアルファベット順に並べただけですので、アルバムの評価とは全然 関係ありません。 1.ALL AMERICAN ALIEN BOY/IAN HUNTER 1976年発表。邦題『流浪者(ながれもの)』。御存知モット・ザ・フープルのボーカル として名高いイアン・ハンターの2枚目のソロアルバム。単身アメリカへ渡り、 ジャコ・パストリアス、デビッド・サンボーン他強者のミュージシャン達をバックに 録音された。かねてからボブ・ディランが好きだったというだけあり、詩情豊かな 歌が聴ける。暴力的とすら言われたモット時代のイメージはここにはない。 余談ながら、一曲だけクイーンのメンバーが参加してます(笑)。 2.ANDY GIBB’S GREATEST HITS ギブ兄弟の末弟として、彗星の如く登場し、70年代後半のヒットチャートを席巻した アンディ・ギブは、1988年わずか30歳の若さで夭折した。デビュー曲から3曲 続けて全米Y1、5曲続けてミリオンセラー、と飛ぶ鳥落とす勢いだった彼のヒット曲 は全てこれ一枚で聴ける。今では名前を知ってる人すらいなくなってしまったけど、 どの曲も名曲揃い。「恋のときめき」なんて最高!改めてアンディの冥福を祈りたい。 3.THE BEST OF ENGLAND DAN & JOHN FORD COREY また70年代のヒットチャートもの。一体どれだけの人が彼らの「秋風の恋」を知って いるのだろう。1976年全米2位まで上がった大ヒットである。 美しいメロディ、優しくでも力強いボーカル、カントリーフレイバーをたたえた 爽やかなサウント、などなど上質のアメリカンポップスの条件を全て備えた人たち だった。当然このベスト盤もそうした彼らの魅力がたっぷり、な訳だが素朴なバラード 曲が突如プログレ的展開を見せたりする意外性もあって、アメリカンポップスの 奥深さを思い知らされるのである。 4.CROWDED HOUSE こちらは比較的メジャー所だろう。CDも廉価で手に入るし。しかし、1987年に突如 ヒットした「ドント・ドリーム・イッツ・オーバー」は80年代を振り返っても10指に入る 名曲だった。このアルバムはクラウデッド・ハウスの1stな訳だが、「ドント〜」以外 にも素晴らしい曲が目白押し、是非皆に聴いて欲しい名盤である。シンプルなようでも 緻密に練り上げられたアレンジもいい。そして、ボーカルと曲の魅力。本当に良質の 音楽って、実はいつの時代も不変なのだという事がよく分かった。涙の出そうなアル バムだ。 5.EXPOSURE/EXPOSE 80年代終わりにヒットを飛ばした女の子3人組。まあ、言ってしまえばディスコなん だが、ラテン風味のアレンジが新鮮に聞こえた。歌詞が分からなくても一緒に歌える キャッチーさも大きな魅力。あの頃なら例えばWinkとかにカバーして欲しいような 曲もあったなぁ。これは1stなのだが、このあと2〜3枚アルバムを出すものの、パッと せずいつしかいなくなってしまった。思うに、ハウスに色目を使ったり、バラード主体 になったりしたのがいけなかったのではないか。軽薄なラテンディスコで良かったの に...。 6.JOHN McVIE'S “GOTTA BAND” WITH LOLA THOMAS 御存知フリートウッド・マックのベテランベーシストの、その長いキャリアで唯一の リーダーアルバム。酒場で見つけてきたという女性シンガー、ローラ・トーマスを フィーチャーしてのセッションだ。ミック・テイラーなど渋い面子に混じり、このローラ のボーカルがソウルフルで実に良い。もしかしたら、スティービー・ニックス脱退後の マックに入るんじゃないか、と僕は勘繰っていた。それくらい素晴らしい。ブルージー な演奏もたまりません。正に大人のロック。 7.MICK TAYLOR そのジョン・マクヴィーのアルバムにもゲスト参加していたミック・テイラーの最初の ソロアルバム。1979年発表。このソロでは、ギターだけでなく、歌もたっぷりと聴か せてくれる。全曲ミックの自作で、意外にブルース一辺倒ではなく、アメリカ南部的な 音で、実にカッコいい。やはりブルースマンは南部の音が好きなんだな、と再認識 した。こちらも大人のロックです。 8.MIND BOMB/THE THE 実は何者かよく知らないマット・ジョンソンのソロプロジェクトがこのザ・ザ。1989年 に発表されたこのアルバムは、タイトなバンドの音とリアルなメッセージが話題と なったように記憶している。歌詞はよく分からないが、アルバム全体に独特の緊張感 が漲り、聴く者を圧迫する。馴染みやすくはないのだが、かといって無視出来ない 何かがこのアルバムにはある。単なる若気の至りなんかではない、真摯な主張が感じ られるのだ。肉体ではなく精神に訴えかけてくる音楽。 9.NAKED SONGS/AL KOOPER 60年代から70年代にかけて、この人は正に顔役だった。スーパーセッションの企画 と成功、BS&Tの結成、サザンロックのレーベル設立等々、非常に素晴らしい アイデアの持ち主だったのだ。で、彼はソロアルバムも何枚か発表しているが、この 『赤心の歌』という邦題で知られるアルバムには、そんな顔役イメージとはほど遠い、 気の弱いただの男という雰囲気のアル・クーパーがいる。つぶやくような頼りなげな ボーカルが実にいい。「ジョリー」は超名曲! 10.NIGHT AFTER NIGHT/U.K. プログレも今は昔、言葉すら聴かなくなった。で、とある人に言わせると“最後”の プログレバンド、U.K.の日本公演のライブアルバム。エディ・ジョブソン、ジョン・ ウェットン、テリー・ボジオの3人からなるU.K.は、確かにテクニック、叙情性、コン セプトと、どれをとってもプログレの名にふさわしい。当時(1980年)はやや軽く聞こ えたけど。タイトル曲が抜群にカッコいい。 11.NOTHING COULD BE SO PERFECT/ANNE PIGALLE 邦題『青春の彷徨』。1985年発表。当時飛ぶ鳥落とす勢いだったトレバー・ホーンの ZTTレーベルからデビューした女性歌手。シングル「異邦人」がオンワードのCMに 使われていたので、覚えてる人もいるかも。シャンソンというか、ヨーロッパ的退廃を 感じさせる音楽で、大仰なストリングスやフランス語と英語がちゃんぽんになったような 歌詞がとてもエキゾチックだった。英語圏のポップスでは味わえない世界。 12.STUFF/BILL WYMAN ストーンズを脱退してしまったビル・ワイマンが、1992年に発表したソロアルバム。 どうも日本のみの発売だったらしい。ビル・ワイマン本人のプロデュースで、全曲彼が 書いており、ファンキーでアダルトな世界といっていい。ストーンズがやりそうな曲も あり、ストーンズにおける彼の存在意義がよく分かるのが面白い。お世辞にも上手い とは言えないボーカルもいい感じ。 13.TAL BACHMAN 去年出たばかりのアルバムを、忘れられた名盤なんてひどいではないか、という人も いるだろうが、あまり知られていないのは確かだ。この人、いわゆる二世ミュージ シャンで、父親はあのランディ・バックマン。と言っても、反応する人が少ないのが とても悲しい。ソングライターとして非常に才能豊かで、ビートルズ的ではあるものの 収録曲はどれも粒ぞろい。将来性は◎とみた。皆聴くように(笑)。 14.THANKYOU AND GOODNIGHT/IT BITES このバンドもプログレと呼んでいいだろう。ボーカルはピーター・カブリエルそっくりだと いうし。80年代後半に登場し、超絶技巧を駆使したサウンドで評判となった。しかし、 彼らの音楽にはテクニックだけでなく、いかにもイギリスという感じのユーモアが感じ られ、眉間に皺寄せて演奏してるのではなく、楽しんでいる様子がこのライブ盤からも 伝わってくる。惜しいことに本作を最後に解散した。 15.YEAR OF THE CAT/AL STEWART アル・スチュワートも最近名前聞かないなぁ。このアルバムは1977年に出たもので、 タイトル曲が全米TOP10に入るヒットを記録した。英国フォーク界の人らしいが、この アルバムにはアメリカンとは違うミステリアスな雰囲気が漂っており、優しげなアルの ボーカルと相まって独特の世界である。病みつきになってしまうこと間違いない。タイ トル曲は名曲だし、こういうのを聴いてた当時のアメリカ人は偉い。 |
MFCオーナーの感想 |
ということで、如何でしたでしょうか。また好き勝手にやってしまいました。完全に当コーナーを私物化してますね(笑)。 ここに挙げた15枚はどれも僕が愛聴していたものですが、調べてみたら廃盤になってないのは5枚だけでした(日本盤の場合です、輸入盤なら手に入りそうなのが結構あり)。時の流れを痛切に感じます。当時は売れてたりしたのもあるんですけどね。 他にも「名盤」企画考えてますので、その時はよろしくお願いします(笑)。 |