MFCオーナーの映画ファイル


File 25

空の大怪獣ラドン(1956年・日本)
RODAN
監督: 本多猪四郎
音楽: 伊福部昭
出演: 佐原健二、平田昭彦、田島義文、松尾文人、草間璋夫、山田巳之助、小掘明男、村上冬樹
    高木清、三原秀夫、津田光男、千葉一郎、熊谷二良、今泉廉、門脇三郎、白川由美、

子供というのは、何故か怪獣・怪人が大好きで、今では”ハム太郎”とゴジラを併映して
いるようですが、私の子供時代は丁度東宝さんがゴジラを作ってない空白の時代だった
ものですから、どうしてもVHSで過去の名作を見てしまうのでした。
確かに現在のCGと較べるとショボイ部分も多分にありますが、いやいやこれはこれで
よろしいんでございますよ。
特に”海底軍艦”は格好いい!
初作・ゴジラ米国版のレイモンド・バーにはびっくりしましたが(弁護士ペリー・メイスン、
鬼警部アイアンサイド)。
すみません、話がそれました。
それにしてもラドンですが、素晴らしいの一言ですね。
円谷英二というひとが戦時中から航空機の特撮物を撮っていたことを考えれば当たり前
なんですが、あののんびりした時代にこんなにスピーディに見せる演出ができたのか、
と感嘆しきりでございます。
ラドンがいつ出るか出るかと、思わせてなかなか出さない焦らしの加減も丁度いいですし、
1作目ゴジラからあまり間隔が空いていないことがいい結果を出していると思います。
ただ、やっぱり大人向けで作ったんでしょうね。
今回、改めて見直しましたが、ラストシーンで号泣してしまったんですけど(見ていただく
ために詳細は書きません)、これを見に行った子供達も泣いたのでしょうか。
1作目ゴジラと同様に、大人向けに作ったら子供もいっぱい見に来ちゃいました、という
のがホントのところのような気がするんですが。

<ニセリッチーさん 投稿日2004.2.21>


File 26

ドラキュラ(1992年・アメリカ)
BRAM STOKER'S DRACULA
監督: フランシス・フォード・コッポラ
音楽: ヴォイチェフ・キラール
出演: ゲイリー・オールドマン、ウィノナ・ライダー、アンソニー・ホプキンス、キアヌ・リーヴス
    サディ・フロスト、リチャード・E・グラント、ケイリー・エルウィズ、ビル・キャンベル、トム・ウェイツ

19世紀末に出版された、怪奇小説の草分けとも言えるブラム・ストーカーの『ドラキュラ』
、一体何回映画化されたのだろう。吸血鬼といえばドラキュラ、子供の頃に見ていた
怪獣物や変身物のTVドラマでは、必ず一度は吸血怪獣なり吸血鬼なりが登場したもの
だが、大概“ドラキュリア”とか“ドラキュラス”とか、ドラキュラをもじったネーミングで、
ドラキュラという名前は単に固有名詞ではなく、吸血鬼やヴァンパイヤ全体を称する
代名詞みたいになっていた。ま、確かにインパクト十分、怖い名前ではある(笑)

意外という程のことはないが、僕がドラキュラ映画を見たのはこの作品が初めてだった。
そして、非常に思い出深い映画でもある。何故なら、ウィノナ・ライダーを知ったのがこの
映画だったからだ(笑) 彼女の役はドラキュラ伯爵の永遠の恋人であるミナ、現世では
キアヌ・リーブスの婚約者だ。スクリーンのウィノナは、なんと気高く可憐で美しかった
ことか。一目惚れ、とは正にこのこと(爆)

ま、それを差し引いても、実に重厚で格調高い、素晴らしい映画だと思う。他のあまた
あるドラキュラ映画は見た事ないので何とも言えないが、脚本も衣装も画面も原作の持つ
ゴシックな雰囲気を忠実に再現している。ドラキュラ伯爵とミナの時を越えた愛、も
ほどほどに描かれ、陳腐な展開に陥っていないのもいい。ジャンル分けするとホラーと
いう事になるのだろうけど、立派な文芸大作と呼んでいいのではないだろうか。2時間
以上に渡って緊張感を持続しているのも見事。コッポラって、やっぱり大したものだ。

衣装を担当したのは、日本人の石岡瑛子。見事アカデミー衣装デザイン賞を受賞して
いる。実にオーソドックスで格調高いスコアを書いたヴォイチェフ・キラールはロシアの
現代音楽畑の人だそうだ。そして、エンドタイトルロールに流れるアニー・レノックスの
「Love Song For A Vampire」、これがまた素晴らしい。この曲聴きたさにサントラを
買ってしまったくらい(笑) 近年では珍しい絢爛豪華なハリウッド映画だけど(オールスタ
ーキャストだし)、ハリウッド以外の人たちの見事な仕事振りが、この映画の質をぐんと
高めている。
2004.7.15


File 27

オーメン(1976年・アメリカ)
THE OMEN
監督: リチャード・ドナー
音楽: ジェリー・ゴールドスミス
出演: グレゴリー・ペック、リー・レミック、デヴィッド・ワーナー、ハーヴェイ・スティーヴンス
    ビリー・ホワイトロー、ホリー・パランス、レオ・マッカーン

前にも書いたけど、ホラーというのは訳分からないから面白いのであって、怪奇現象も
心霊現象も論理的に解明してしまったら、それはホラーではないのである。ただ、この
『オーメン』の場合、ホラーではあるが(公開当時はオカルトと言ってた)謎解きの過程が
スリリングで、ミステリーとして見ても良く出来ている。ま、謎解きといっても、悪魔の子・
ダミアンの出生の謎をたどる訳で、結局ミステリーとは言い難い結末になるんだけど(笑)

故グレゴリー・ペック演じる外交官(だったかな、記憶が不確かで申し訳ない)の、6月6日
6時に生まれた息子・ダミアンは、実は悪魔の子であった。彼は成長するにつれ、その
片鱗を見せ始める。彼の出生に疑問を持った人は次々と奇怪な殺され方をし、それは
父親でも例外ではない。悪魔の力に守られながら人間界ですくすくと成長していくダミアン
。ラストで見せた愛くるしい笑顔が不気味というか何というか...

悪魔の子は、その証拠としてつむじに“666”と刻印されている、というのが分かりやすく
ていい。妙に恐怖を誘うものがある。日本では4や9といった数字を忌み嫌うけど、西洋
では6が不吉な数字らしい、というのをこの頃知った。ちなみに、何故6が嫌われるのか
は知らない。すいません、勉強しておきます(笑)

この『オーメン』シリーズ、パート4まで作られていて(ちなみにパート4に登場する悪魔の
子は女の子だ)、シリーズ物の常として第一作が最高との評価が一般的だ。反論する気
は全くないが、第二作でダミアンが成長して自身が何者であるかを知ってしまう場面が
あり、何故僕が、と慟哭するダミアンの姿が非常に切なくて、ついもらい泣きしてしまった
経験があるものだから、『オーメンU』も僕にとっては印象深い。そして、もう一歩成長して
自分の出自と使命を自覚した彼は、『U』のラストでも不敵な笑みを見せるのだ。幼児の
無自覚な笑みも怖いけど、全てを悟った笑みもこれまた不気味だ。そういう点では、僕は
『U』の方が怖かったな(笑)

本作で、映画音楽の職人、ジェリー・ゴールドスミスがついにオスカーを受賞した。過去
何度となくノミネートされながらも受賞を逃してきただけに、ようやく認められたか、という
想いが強かった(勝手な思いこみですが) しかし、さすが職人、オスカーの名に恥じない
素晴らしいスコアを『オーメン』でも聴かせている。彼のスコアのおかげで恐怖が倍増され
たのは言うまでもない。

しかし、これも前に書いたけど、神が降りてきて奇跡を起こした、なんて話はまともに信じ
ないのに、悪魔絡みの話になると、熱心に見入ってしまうのは何故だろう?(爆)

2004.7.17


File 28

シェーン(1953年・アメリカ)
SHANE
監督: ジョージ・スティーブンス
音楽: ビクター・ヤング
出演: アラン・ラッド、ヴァン・ヘフリン、ジーン・アーサー、ブランドン・デ・ワイルド、ジャック・パランス
    エミール・メイヤー 、ベン・ジョンソン、エリシャ・クック、エドガー・ブキャナン

西部劇にはガン・ファイトは必要不可欠だと思っていた。少なくとも、映画に興味を持ち
始めた頃は。しかし、ガン・ファイトも馬に乗ってのアクション・シーンがなくても、立派に
西部劇は成立するという事を知らされたのが、この『シェーン』である。

正確に言うと、この映画にもガン・ファイトはある。だけど少ない。流れ者のガンマン・
シェーンが拳銃の練習をするシーンなどを除けば、ラスト近くに一回登場するだけだ。
物語の中核を成すのは、ワイオミングの開拓農民の一家とシェーンの心の交流、そして
農民たちと牧畜農家たちとの抗争である。決してアクション映画ではないのだ。だけど、
その一回だけの酒場でのガン・ファイト、短いけど実にカッコいい。

西部劇というジャンルを越えて名作と語り継がれる作品だ。風景も美しいし、ありがちな
話ではあるものの、脚本も巧みと思う。役者たちも名演である。シェーンを静かに演じた
アラン・ラッドが特にいい。彼はよく大根と言われたが、おそらく表情やセリフが平坦な
せいだろう。しかし、この映画ではそれがクールで孤独なシェーンにぴったりで、一世一代
の名演技と評される事になった。正に代表作である。これ以外ではパッとしなかったのも
仕方ない所か。

派手な立ち回りは少ないし、ストーリー展開も割に平坦だ。しかし、素晴らしいカメラワー
クと役者たちの名演技によって情緒たっぷりに見せる事で、名画を作ることは出来る。
少なくとも、僕にとっては今もなお鮮烈な印象を残す映画である。

2005.2.27


File 29

暗黒街のふたり(1973年・フランス)
DEUX HOMMES DANS LA VILLE
監督: ジョゼ・ジョバンニ
音楽: フィリップ・サルド
出演: アラン・ドロン、ジャン・ギャバン、ミムジー・ファーマー、ミシェル・ブーケ、イラリア・オッキーニ
    アリエル・ドンバール、ジェラール・ドパルデュー

最近、奈良の少女誘拐殺人とか愛知のスーパー通り魔殺人とか、過去に有罪判決を受け
て服役した前科者が出所してから事件を起こすケースが多い。こう度重なってくると、
前科者の出所後の情報は一般に公開すべきとか、服役中の更正プログラムに問題があ
るのではないかとか、色々な議論が巻き起こってくる訳だが、それも当然であろう。特に、
性犯罪者の再犯率は非常に高いそうで、子供を持つ人たちはおちおちしてられまい。
この状態がエスカレートすると、人を見たら犯罪者と思えってな風潮になってくるだろうし、
警察や司法はあてに出来ないから、自衛の為一般人がこっそり銃を購入するのが当たり
前、なんて事態になりそうで怖い。政府は早急に何らかの手を打つべきであろう。

もちろん、前科者でも罪を悔い立派に更正しようとする人がいるのも事実だと思う。そう
いう人たちにとっては、情報公開なんてされたら、仕事にも就けず生活が出来なくなる。
社会が更正の機会も意志も奪ってしまう訳だ。一度罪を犯したら一生ハンディを背負って
生きていかねばならないのか。それも一理あるけど、更正しようとする人にはチャンスを
与えてあげたらどうだろう、とも思う。ま、とにかく難しい問題であるのは確かだ。

と前置きが長くなったけど、その前科者の再犯、に関する話を聞いて思い出したのが、
この『暗黒街のふたり』である。マフィア物みたいな邦題だけど、そういう内容ではない。
刑期を終えて出所したアラン・ドロンが、真面目に働いて更正しようとするが、彼を逮捕
した刑事が執拗につきまとい、彼の更正の邪魔をする。そして刑事によって希望を打ち
砕かれたドロンは、怒り心頭に達してその刑事を殺してしまい、死刑を宣告される、という
ストーリーである。この映画を見た時、僕はドロンが哀れで涙してしまった。前科者だから
といって、偏見の目で見るのはやめよう、なんて子供心に思ったものである。刑事も憎ら
しくて仕方なかった。ドロンを死刑に追い込んだのは奴である。結局、犯罪者なんて社会
のエゴと偏見が作り出すものではないのか、なんて事まで考えてしまった(笑)

今思うと、社会派ドラマというよりメロドラマみたいだった気もするのだが(笑)それなりに
考えさせるものがあったのは確かだ。僕は前科者は更正出来るのか、という観点で見て
いたが、某掲示板によれば、当時フランスにはまだ死刑制度が残っており、その是非を
訴えたという側面もあるらしい。昔は娯楽作とはいえ、それなりに社会問題を提起した
映画が多かったのだな。

ま、時には映画を通じてあれこれ考えてみるのもいいだろう。昔の映画ほど勉強になる
と思いますよ(笑)

2005.2.27


File 30

ダイ・ハード2(1990年・アメリカ)
DIE HARD 2
監督: レニー・ハーリン
音楽: マイケル・ケイメン
出演: ブルース・ウィリス、ボニー・ベデリア、ウィリアム・サドラー、ジョン・エイモス、フランコ・ネロ
    アート・エヴァンス、デニス・フランツ、ウィリアム・アザートン、レジナルド・ヴェルジョンソン

よく分からんけど、何故かテロリスト集団を相手に孤独な闘いを強いられるタフな刑事、
ジョン・マクレーン。刑事としてはそれなりに有能みたいだけど、決してスーパーマンでは
ない彼が、スーパーマン並に八面六臂の大活躍をするこの『ダイ・ハード』シリーズ、近年
のハリウッドアクション映画には辟易している僕であるが結構好きである(笑)中でも、
最初に見たせいかもしれないが、この第二弾が好きだ。テレビで放送すると必ずと言って
いいほど見ている。

シリーズ物の常として、第一弾が一番面白いとよく言われる。『ダイ・ハード』もそういう
評価らしい。が、この第二弾だって十分面白い。妻を迎えに空港へやって来たマクレーン
は、早速怪しげな男たちと乱闘したのを手始めに、空港を乗っ取ろうとするテロリスト集団
と対決する羽目になる。政治犯を護送するチャーター機が到着するのと同じ日だったのが
運の尽きだ。援軍もなく空港内を走り回り、行く先々で派手な立ち回りを演じるマクレーン
がなんとなく滑稽でおかしい。大真面目な乱闘シーン(本人は生きるか死ぬか、なんだろ
うけど)が結構笑えたりするのだ。ぐるぐる転がりながらマシンガン乱射するシーンとか、
チャーター機内に取り残された上に手榴弾を放り込まれ、操縦席の脱出装置を使って
間一髪危機を逃れるシーンとか、手に汗握るシーンの連続なのだが、当のマクレーンは
ぼやいたり半べそかいたりしてる。極めつけはラスト、テロリストがジャンボジェットで逃げ
ようとするのに追いすがり、翼の上で乱闘し、燃料タンクの栓を抜いてから飛び降りて、
そのこぼれ落ちた燃料にジッポで火をつけると、そのまま火がジャンボに燃え移って炎上
するシーン。有名なシーンだ。ほんとかよ、と思わず言いたくなってしまうが(笑)痛快この
上ないラストでもある。こういった、一種荒唐無稽なシーンの連続で、だけどマクレーン
自身は大真面目で(当たり前か)、そこはかとなくユーモアが漂っているのが、楽しく見れ
る要因であろう。最近のハイパーアクションムービーはとにかく気を抜けなくてイヤだ。
ずっと緊張しっ放しで、見終わるとどっと疲れる。その点『ダイ・ハード2』は肩が凝らなく
ていい。マクレーン、というかブルース・ウィルスのキャラクターがいいのかも。周囲の
連中の緊張感のないセリフもいい(笑)

何がマクレーンをここまで突き動かすのか、そこいらがよく分からんが(笑)、肩の凝ら
ないアクション娯楽大作として、大変優れた映画と思う。

あと、そのテロリスト集団が奪還しようとする政治犯を、あの往年のマカロニ・スター、
フランコ・ネロが演じている。さすが、いい雰囲気を出してるね。で、彼は飛行機の操縦も
出来るという設定なのだが、ラスト近く、政治犯の奪還とジャンボを一機せしめる事に
成功したテロリストたちが、ジャンボ機内で乾杯したりしているのだが、なんとその時操縦
桿を握っているのは、フランコ・ネロなのだ。隣にいるのもテロリストのリーダーの男。
下っ端たちは皆客室だ。飛行機を操縦するのが特殊技能なのは分かるけど、上司に操縦
させて自分らは酒飲んでていいんだろうか? 単なるサラリーマンとしては、これ非常に
気になる(爆)

2005.2.27

ストーリーは分かっているけど何度も見てしまう映画。
そんな一つにあげられるダイハードシリーズです。
オーナー様は2がお好きのようですが、
私は3が好きです。
犯人からの暗号を解いていく…
初めて3を見たとき「わくわく」したのを
覚えています。

<tom nyajyaさん 投稿日2005.3.17>