MFCオーナーの映画ファイル


File 19

13デイズ(2000年・アメリカ)
THIRTEEN DAYS
監督: ロジャー・ドナルドソン
出演: ケヴィン・コスナー、ブルース・グリーンウッド、スティーヴン・カルプ、ディラン・ベイカー、
    ルシンダ・ジェニー、ビル・スミトロヴィッチ、ケイトリン・ワックス、ピーター・ホワイト

この映画の公開当時、働いていたお店で映画館のポスターを貼っていたので、上映映画
館が変わる度に招待券を貰って見に行った、そんな一本です。
キューバ危機を描いた映画で、ちょうどドンピシャのタイミングで、マクナマラ国防長官と
ボビー・ケネディ司法長官それぞれの当時を記した手記を読んでいたので興味深々
でした。
ケビン・コスナーの演じる大統領補佐官にもモデルがいるそうなので、一応実録モノと
いっていいでしょう。

GOOD
・JFKが病気持ちとして描かれている(最近、彼が膠原病だったことが明らかにされた)
・ボビー役の役者がそっくり(何本かのTVドラマでロバート・ケネディ役をしているのを
 見たことがあります)
・ほとんど兵器の類を映さないので、かえってホワイトハウスで耳からの情報しか入らぬ
 緊迫感を出している
・カーティス・ルメイ空軍大将はじめタカ派の人物はほぼ過不足なく描けている

BAD
・JFKが似ていない(これならボビー役も似てなくてよかったのでは)
・本当のマクナマラ国防長官はもっとアクの強い人物である
・ハト派の主要人物、例えば海上封鎖・臨検を指揮したアーレイ・バーク海軍大将らが
 出てこない

ここから補足。
この時代はまだ米ソともに軍拡まっしぐらで頭がおかしくなっている時代。

例えば、米軍のミサイル防衛のプラン。
大都市めがけて飛んできた核ミサイルを核ミサイルをぶつけて撃ち落す。もちろん大都市
上空で!
米陸軍の携帯用核兵器「デイビー・クロケット」。
射程が最大2kmくらいで半径3kmほどの敵を殲滅する!撃った本人はどうなるのよ!

といった具合で、その軍拡に一定の歯止めをかけにかかったのがケネディ兄弟とマクナ
マラ。しかし、ケネディ兄弟は軍産複合体に殺され、マクナマラは世界銀行に”栄転”させ
られる。
なんにせよ、ケネディ兄弟とフルシチョフのどちらも全面核戦争への正常な想像力(=恐
怖心)を持っていたことでことは終息します。
この映画のラストカット、ケネディ兄弟が談笑しながらホワイトハウスの中庭に消えていく
のを見ながら、私は涙が止まりませんでした。
この2人がいたから、今のこの世界があるのだなぁ、という感慨で胸がいっぱいになりま
した。
その2人は中道に斃れたのですから・・・。

さて、ここで余談。
キューバ危機の顛末を記したアメリカ政府の報告書の最後は「ヘル・フリーゼズ・オー
ヴァー(地獄の釜は閉じた)」という言葉で締めくくられています。
これはイーグルスの復活アルバムのタイトルに使われました。
イーグルスにしてみれば、ケネディ兄弟はキューバ危機は上手く乗り切ったが、ベトナム
戦争の火種を作ったのもあいつらじゃないか、と言いたかったんじゃないでしょうか。

<ニセリッチーさん 投稿日2004.1.31>


File 20

冒険者たち(1967年・フランス)
LES AVENTURIERS
監督: ロベール・アンリコ
音楽: フランソワ・ド・ルーベ
出演: アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジョアンナ・シムカス、セルジュ・レジアニ

最初に見た時と数年後に見た時とで、印象が異なる映画ってのは多くある。当たり前の
ことだが、映画自体は変わっていないのだが、見ているこちらの感性や精神状態が変わ
っているのだから、それは仕方ないことと思う。この『冒険者たち』もそんな映画。初めて
見たのは中学生だったろうか。切なくて悲しくて涙が出そうな映画、というのが最初に見た
時の感想だったのだが、10数年後に見た時はそうは感じなかった。ストーリー展開が
あまりにもご都合主義であり、尚かつ感傷的過ぎるように思われたのだ。単なるメロドラ
マじゃん、と。

にもかかわらず、この映画は僕のお気に入りの一本である。若い頃はともかく、冷静に
見れる年齢になっても、全編を覆う哀しみというか無常感というか、そういったものに僕は
抗えない。表面上は平静を装っていても、心は揺さぶられてしまう映画なのである。

発明家の卵のリノ・ヴァンチェラと曲芸飛行のスターを夢みるアラン・ドロン、この二人に
ひょんな事から前衛芸術家志望のジョアンナ・シムカスが加わって、奇妙な共同生活を
送る事になる。夢を追いかける若者たち、と言えば聞こえはいいけれど、要するに定職に
就かず好きな事に血道を上げている、いわば社会の落ちこぼれみたいなものだ。で、彼
らは海底に眠る財宝の話を聞きつけ、宝探しに行き、探し当てたはいいけど、秘密組織
みたいな連中と奪い合いになり、ジョアンナ・シムカスは射殺されてしまう。残ったヴァン
チェラとドロンの二人は、家族に遺品を渡す為に彼女の故郷へ向かうのだが、そこで海の
上で朽ち果てた巨大な要塞を見つける。ジョアンナ・シムカスが小さい頃好んでいた場所
だと聞かされた二人は、この要塞を買い取って暮らそうと計画する。が、そこへ例の秘密
組織の連中がやってきて銃撃戦の末、ドロンは殺される。と、いうあらすじである。

無茶苦茶感傷的な話だと思いません? 夢を追いかける若者が、その夢に手が届きそう
になったと思ったら、死んでしまう。ちょっとダサ過ぎるようね。今どき、高校生の自主製
作だって、こんなおセンチで陳腐なストーリーにはしないだろう。宝探しとか海上の要塞
とか、まるでジュブナイルみたいなアイテムが散りばめられているのも、おセンチ度アップ
に一役も二役も買っている。まともな大人だったら、恥ずかしくてこんな映画作れないの
では。

と言いながらも結局ねじ伏せられてしまうような物がこの映画にはある。フランソワ・ド・
ルーベの哀愁漂うテーマ曲も含めて、ここまで徹底されると抵抗出来ないって事か。
ジョアンナ・シムカスの役名が「レティシア」というのだが、この名前もどこかくすぐる響き
がある。「クラリス」と同様に(爆)

あとこれポイント高い(笑)のだが、アラン・ドロンはそのレティシアを愛していて、一緒に
暮らしたいと思っていた。だが、彼女はリノ・ヴァンチェラが好きで、宝探しに行った時
彼に告白する。ヴァンチェラはドロンの気持ちを知ってるので何と言っていいか分からな
い。そしてラスト、撃たれたドロンが息を引き取る間際、「レティシアはお前と暮らしたいと
言ってたぞ」とヴァンチェラはドロンに言う。当のドロンは笑って「この嘘つきめ」と言って
死んでいく。ここでおセンチ度は最高潮に達する。そして、無性に切なくなる自分を発見
するのだ。

やっぱり、この映画には抗えない(笑)

2004.2.1


File 21

エンゼル・ハート(1987年・アメリカ)
ANGEL HEART
監督: アラン・パーカー
音楽: トレヴァー・ジョーンズ
出演: ミッキー・ローク、ロバート・デ・ニーロ、リサ・ボネ、シャーロット・ランプリング、
    ストッカー・ファウンテリエ、ブラウニー・マッギー、マイケル・ヒギンズ、チャールズ・ゴードン

ホラー映画である。公開時のコピーは「世の中には知らない方が良い事もある」とかいう
ものだったと記憶している。主演のミッキー・ロークはおそらくこの頃がピークだったので
は。後年、妙ちきりんなボクシングの試合に出て、意味不明の猫パンチで勝ったとかいう
一件以来名前を聞かなくなったような気がする(笑)

これは劇場で見たのだが、とても面白かった。料金の価値は十分にあった(笑) 他の人
に聞いてみると賛否両論で、つまらなかったという人に理由を訊ねてみると、訳が分から
ない、と答える人が多かったな。そう、この映画、よく考えてみると訳が分からないので
ある。理屈が通らない、というか。だけどホラーなのである。理屈が通らないから面白いと
いうか、怖いのだ。怪奇現象等を科学的・論理的に解明してしまうのは、ホラーとは呼ば
ない。

私立探偵のハリー・エンゼル(ミッキー・ローク)は、ロバート・デ・ニーロ演じるルイ・サイ
ファーという男から、とある男を探すよう依頼される。で、ハリーがその男を追って調査を
進めていくに従い、次々と恐るべき事実が明らかになる。そして、迎える戦慄のラスト..
ああ、喋りたいけど喋れない(笑) すいません、レンタルで見て下さい。

問題はこのラストで、公開当時ラスト30分は入場させない、という処置を取っていたくらい
衝撃と戦慄の結末がウリだったのである。ただ、前述したように、このラストで戦慄する人
としない人といて、そこで評価も割れたのである。ちなみに僕は戦慄した(笑) タイトルの
意味がよ〜く分かって、ほんとゾッとしたです。

ラストに戦慄するかどうかはともかく、ゴシックぽい雰囲気は十分堪能出来るので、飽き
ずに見ていられると思う。ミステリー風がラストでいきなりホラー的展開を見せるのもいい
。それが気に入らん人も多いだろうが(笑) でも、くどいようだが、何が何だか分からない
から怖いのである。モンスターやバンパイヤが出てこなくても、怖いもんは怖い。それが
ホラーってもんです。『リング』だってそう(映画はともかく小説は)。『13日の日曜日』
みたいなスプラッタ物ばかり見ていると、そういう感性が損なわれてしまいますので、
ほどほどにね(笑)

2004.2.1


File 22

ブルース・ブラザース(1980年・アメリカ)
THE BLUES BROTHERS
監督: ジョン・ランディス
音楽: アイラ・ニューボーン
出演: ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、キャリー・フィッシャー、キャブ・キャロウェイ、
    ジョン・キャンディ、ヘンリー・ギブソン、チャールズ・ネイピア、ジェフ・モリス、レイ・チャールズ

今の若い人にとっては、黒サンにダークスーツといえば、MIBになってしまうのだろうか。
しかし!かつてはブルース・ブラザースの専売特許だったのだ!
公開時に6歳くらいだった私が彼らを知ったのは大学に入ってからで、バイト先の人に、
サタデー・ナイト・ライブのダイジェスト版のVHSを借りたときのことだ。
ものすごく簡単に言えば、ゴースト・バスターズの幽霊退治会社の社員が全員出ていた
んだけど、何より私には、ジョン・ベルーシの”サムライ寿司”の凄まじい暴れっぷり(当時
の”将軍”ブームを揶揄したものらしい。チェンバレンも懐かしいな)と、若いトム・ハンクス
の初々しい姿が印象に残ったものだ。
ブルース・ブラザースはそれまで見る機会がなかったのだけれども、SNLから出たキャラ
クターだと聞いて早速ビデオを借りてきたのだった。
大体、ミュージカルなんて大嫌い(オペラも、バレエも嫌い)な私にお歌満載で耐えられる
かしらとも思ったけれども、とんでもございません、大満足でした。
筋はあってないようなものだから(苦笑)、いや、スラプスティックはそういうもんなんで
ねぇ、語りようが無いんですけど、そこをなんとかコマ切れで。
まず、ジェイク(ベルーシ)が出獄してくるシーンで、エルウッド(エイクロイド)が迎えに
来るのが、オンボロパトカー。これが伏線になるので忘れないように。
そして、二人が育ったシカゴのセント・ヘレナ孤児院(すごい名前!)の院長さんがいい
キャラで。この人の場合は、続編BB2000にも出ます。
二人が天啓を受ける教会の牧師がジェームス・ブラウンという今となっては計算すら
感じる配役。
個人的には、途中で二人とバンドを組まされる”ブッカー・T&M・ジョーンズ”の面々の
存在が嬉しい。
彼らはオーティス・レディングのバックバンドであり、BBのテーマのように思われている
「キャント・ターン・ユー・ルーズ」はオーティスのナンバーだ。
レイ・チャールズの楽器屋でのくすぐりもよい。
圧巻は、クライマックスのコンサートでのキャブ・キャロウェイ。
彼は、スキャットのアドリブを武器にした最初のシンガーといってよい存在のスウィング系
ブルーズシンガーである。
「ミニー・ザ・ムーチャー」でオーディエンスの大合唱を煽る彼には40年のキャリアの
凄みを感じる。
他にもアレサ・フランクリンやジョン・リー・フッカー、ツィギーら大物多数出演。
ジョン・ランディス監督とBBの二人の脚本がかみ合ったミュージカル・コメディの大傑作!
ぜひご覧あれ!

<おまけ>
ジョー・ウォルシュ(イーグルス)やスティーブン・スピルバーグもチョイ役で出ているよ!
探してみて!

<ニセリッチーさん 投稿日2004.2.13>


File 23

2001年宇宙の旅(1968年・アメリカ/イギリス)
2001: A SPACE ODYSSEY
監督: スタンリー・キューブリック
出演: ケア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルヴェスター、ダニエル・リクター、
    レナード・ロシター、マーガレット・タイザック

名匠キューブリック監督による、SF映画の名作である。という事になっているらしい。が、
僕には全く理解出来ない映画であった。と言いますか、ちっとも面白くなかったのである。

おそらく、この比類なき名作を悪く言ってはいけないのだろう。この映画を絶賛する人は
多いが、否定的なコメントは全く見た事がない。なにせキューブリックである。面白くないと
言えば、見る方の感性が鈍いからだ、とすら言われる大監督の代表作である。好きでは
ない、という程度の事は言えてもつまらないとは言っちゃいけないのだ。映画なんてレンタ
ルで、しかも年に数本程度しか見ない(それも話題作かアニメくらい)オヤジならいざしら
ず、映画好きを自認するマニアが『2001年宇宙の旅』をつまらない、なんて言おうもの
なら、同好の士からは白い眼で見られ、相手にして貰えなくなるのだ、きっと。ファンの
レベルでならまだいいが、曲がりなりにも映画評論家などという肩書きを持ち、テレビの
映画放送枠で解説をしたり、映画雑誌にコラムを執筆したりしている人たちになると、
もっと事態は深刻だろう。きっと、業界からも市井の映画ファンからも総スカンを食い、
仕事も打ち切られて路頭に迷ってしまうのである。だから、誰も否定的な事は言わない
のだ。いや、たとえ世間が認めてくれなくても、つまらないからつまらないと言ってるのだ、
という信念があればいいではないか、という意見もあるだろうが、事はそんなに簡単では
ない。『2001年宇宙の旅』をつまらないと感じてしまった自分は映画を語る或いは論じる
資格などないのではないか、金輪際映画など見るべきではないのではなかろうか、と自問
自答して苦しんでしまうのだ。ここまでくると、アイデンティティ喪失の危機である。キュー
ブリックを否定する事は、自分自身をも否定してしまう事になってしまうのだ。大半の映画
ファンにとっては。だから絶賛するしかない。なんだか、ロックにおけるキング・クリムゾン
みたいな存在だな、キューブリックって(笑)

僕はそういう葛藤はないから(笑)正直に言うが、『2001年宇宙の旅』は面白くなかった。
これを読んでいる人で、僕と同じようにつまらない、と思った人はいませんか?正直に
言っていいんですよ(笑)自分の感性に訴えてこないものを、無理に面白いと言うのは
精神衛生上良くないですからね。絶対いると思うんだけどなぁ、この映画を面白いと思え
ない人。ネット上で公表するのがイヤなら、こっそり僕にメール下さい。秘密は守ります(爆)

2004.2.14

私もこの映画はよく分からないのです。タイトルどおり2001年にレンタルして見たのですが。
ただ、撮影技術とか 全く分かりませんが、製作した年代を考えると、ぜんぜん古さを
感じさせない と思います。
実は 面白いとか、面白くない と言う以前にじっくり見ていないのです。 
始まってからしばらくの間 台詞がなく、音楽のみ でしたよね? 
すると、自然に心地よい眠りにzzz
レンタル期間中 数回挑戦しましたが、やはりzzz。
結果、催眠効果のある映画となってしまいました。

<tom nyajyaさん 投稿日2004.4.4>


File 24

リバー・ランズ・スルー・イット(1992年・アメリカ)
A RIVER RUNS THROUGH IT
監督: ロバート・レッドフォード
音楽: マーク・アイシャム
出演: ブラッド・ピット、クレイグ・シェイファー、トム・スケリット、ブレンダ・ブレシン、エミリー・ロイド、
    スティーヴン・シェレン、ニコール・バーデット、ヴァン・グラヴェイジ、ジョセフ・ゴードン=レヴィット
 
俳優として成功した人が、監督としても成功するとは限らない。これ至極当たり前の事で、
スポーツの世界でも、名選手名監督にあらず、なんてよく言われる。ま、監督と俳優なん
て、同じ現場で同じ目的の為に仕事をしていても、立場は全く違うしね。両方に適性が
あるなんて事は滅多にない、というのは想像に難くない。

とは言っても例外というのはあるもので、クリント・イーストウッドは監督としても高い評価
を受けているし(役者としては元々大した事ないよ、と言ってる人もいたけど...)、
個人的にはロバート・レッドフォードとポール・ニューマンも監督としても優れていると
思っている。このレッドフォード監督による『リバー・ランズ・スルー・イット』も素晴らしい
作品だ。

もしかして、やや地味目な映画かもしれない。ストーリーも淡々としていて、特に起伏が
ある訳ではないし。だけど、その淡々とした語り口、そして何よりもカメラワークが非常に
素晴らしい。正直言って、こんなに映像が美しい映画なんてそうあるもんじゃない。スクリ
ーンに映し出される大自然の映像を見ているだけで、感動してしまう。ほんと、素晴らしい
の一言。アカデミー撮影賞を受賞したそうだが、全くもって当然である。この映像に賞を
やらなければ、他に貰える人がいなくなってしまう。

ブラッド・ピットをはじめとする役者たちもいい。前述した通り、淡々と物語は進行するの
だが、それを最後までだれずに見せるのは、監督の手腕もさることながら、役者たちに
負う所も大きいと思う。

レッドフォードの監督処女作『普通の人々』にも通じるものがある。派手ではないが手堅い
演技を見せる役者たちといい、淡々としたストーリー展開といい。ま、『普通の人々』の
場合は、淡々としていたはずが最後には大変な事になってしまうのだけど(笑) レッド
フォード監督の作風はこういうのなんだろうか。僕は好きだけどね。淡々としてるようだ
けど、じんと沁みてくるような映画。時間が経つのも忘れて画面に見入ってしまって、終わ
った時にはっと我に帰るような、だけど胸に何か残っているような映画。

アメリカの片田舎で父親と釣りをしながら育った兄弟。堅実な兄に一風変わった弟、そし
て彼らと関わり合う人々。そこから想像される、心温まるヒューマンな人間ドラマ、なんて
陳腐な物を超えた何かがこの映画にはある。だから、僕はこの映画を見る度に感動して
しまうのだ。それもグワァーっとくるのではなく、ジワーッとくる感動。何度でも見たくなる
映画である。

2004.2.14