File bV リアリティ・バイツ(1994年・アメリカ) REALITY BITES 監督: ベン・スティラー 音楽: カール・ワリンジャー 出演: ウィノナ・ライダー、イーサン・ホーク、ジャニーン・ガロファロー、スティーヴ・ザーン、 ベン・スティラー、スウージー・カーツ、ジョー・ドン・ベイカー、ジョン・マホーニー ウィノナ・ライダーは好きな女優だけど、彼女について個人的に知っている訳ではない (当たり前だ)。けど、実物の彼女にとても近い役柄がこの映画のリレイナなのではないか と思う。頭は良いけど自信過剰で世間知らずで怖い物知らず、だけどいざとなると自分 一人では何も出来なくて、根気がなくて無責任で享楽的で...ほんと“素”で演じてるって 感じ(こういう場合は演技とは言わないのか)。だけど、彼女をはじめとした出演者たちの 等身大の生き生きとした演技が、この映画を魅力的な物にしているのは確かである。 いわゆる“ジェネレーションX”と呼ばれる世代の若者たちの生活を描いた映画である。 冒頭、大学の卒業式で総代として演説するウィノナが登場するが、ポリティカルではある ものの今イチ抽象的でよく分からないスピーチを終えた彼女の自信満々な表情が、この “ジェネレーションX”の若者たちの特性を見事に表しているように思える。口では偉そうな 事を言いながらも、定職に就かずぶらぶらと暮らす彼らではあるが、見ていてそれほど 刹那的にも無軌道にも感じられないのは、“ジェネレーションX”ならではといった所だろう か。 好みにもよるだろうが、役者たちがリアルだし、“近頃の若い奴らときたらまったく”なんて 年寄り臭い事を考えずに見てれば楽しめる映画だ。挫折の果てに最後には真実の愛を 見つける、なんて展開もお気楽でいいのかも。端から見れば危なっかしいだけだが、本人 たちは割と真剣ていうのも、考えようによっては微笑ましい。ま、こんな見方をするように なったという事は、やはり僕もオジサンなんだ、という事かもしれない。“ジェネレーション X”とはせいぜい10才くらいしか違わないのに(爆) この映画のもうひとつの魅力は音楽だ。ナックの「マイ・シャローナ」が流れる事で話題に なったが、その他デビッド・ボウイの「ヤング・アメリカン」にそっくりなワールド・パーティの 「ホエン・ユー・カム・バック・トゥー・ミー」や、ウィノナとジャニーン・ガロファローが運転 しながらカーステレオに合わせて歌うスクイーズの「テンプテッド」などが僕としては印象的 だった(この後事故るんだよね)。サントラ即買いました(笑)もちろん、イーサン・ホークが 歌う「アイム・ナッシン」やエンドロールに流れるリサ・ローブ&ナイン・ストーリーズの 「ステイ」も良かった。音楽と場面が上手く結びついていたと思う。 ウィノナ・ライダーは近年のハリウッド女優には珍しく、様々な役をこなせるタイプだ。そん な彼女のたくさんある仮面のひとつが『リアリティ・バイツ』のリレイナなのだろう。とはいえ やはりウィノナの代表作に挙げられる作品である事は間違いない。この映画のウィノナは とにかく素敵なんである。 2003.8.6 |
File bW ベスト・フレンズ・ウェディング(1997年・アメリカ) MY BEST FRIEND'S WEDDING 監督: P・J・ホーガン 音楽: ジェームズ・ニュートン・ハワード 出演: ジュリア・ロバーツ、ダーモット・マローニー、キャメロン・ディアス、ルパート・エヴェレット フィリップ・ボスコ、スーザン・サリヴァン、キャリー・プレストン、レイチェル・グリフィス 28歳の誕生日間近のジュリアン(ジュリア・ロバーツ)に学生時代の恋人、マイケル (ダーモット・マルロニー)から電話がある。「結婚するので、式に参列してくれ」と。 失ってから初めて気づくホントの気持ち。揺れる心のジュリアンはとるものもとりあえず ニューヨークからシカゴに飛ぶ。式までの4日間のうちに結婚式をぶち壊し、マイケルを 取り戻そうと。 見所は4つ。 1つめ。主演のジュリア・ロバーツ。表情、しぐさ、ファッションとどこから見ても魅力 いっぱい。泣き笑いの表情が特にキュート。元カレの結婚をぶち壊そうと謀略する陰険 な役なんて、他の女がやったらサイテーだが、ジュリアだからこそなんだかせつなく、 ドキがムネムネするんである。 2つめ。ジュリアンとマイケルの婚約者キム(キャメロン・ディアス)のファッション対決。 初対面から結婚式までの4日間の二人のファッションを追っていくと実に対照的である。 片やキャリアを感じさせる大人の女服のジュリアン、片や若くて可愛い正統派お嬢様 ファッションのキム。おまけに、キムの母親もパウダーピンクのスーツや帽子がよく 似合うエレガンス派。ストーリーを追いながらもアクセサリーや小物までしっかりチェック いたしましょう。 3つめ。何よりもジュリアンの友人、ゲイのジョージ(ルパート・エヴェレット)のキャラ 立ち。キムの母親への初対面での挨拶「キミーの妹さんですか」なんてセリフ、フツーの 男が言ったら「調子いいこと言ってんじゃねぇよ!」となるところだが、彼が口にすると 陳腐な社交辞令も甘い美酒のごとく奥様方をとろけさせること請けあい。空回りばかりし ているジュリアンのよき理解者としてすべてを見通し見守る。おいしい役どころですなぁ。 この映画を初めてTVで見たとき、その吹き替えをやったのが草刈正雄。声といい抑揚と いいまさに絶妙のアテレコで、その強烈な印象ゆえ、後々いつまでも心に残る映画と なったのだ。 4つめ。要所要所における群衆を巻き込んでの盛り上げシーン。 まずは、カラオケ・バーでキムが音程の狂った「I Just Know What To Do With Myself」を歌い切ったとき、始め大ブーイングだった客達はヤンヤの大喝采となるので ある。次に、レストランでジョージが「I Say A Little Prayer」を歌い出すとキムや マイケルの親類達が次々と歌を引き継ぎ、最後にはレストランに居合わせた全員の 大合唱になだれ込むシーン。Good!! 最後に、大公衆トイレでのキムとジュリアンの口論シーン。「ヒレツ!サイテー!」と キムがジュリアンに詰め寄ると、大勢の(笑)トイレ客達は全員キムに同情し加勢する。 しかし、ジュリアンの真剣な訴えで最後に二人がわかりあってハグなんかしちゃうと、 そこでまた公衆の安堵の喝采が起きるのである。 いかにもたこにもなの失恋コメディなんである。オープニングタイトルからエンドロールに 至るまで、バカラック・メロディが彩りを添えるこの映画。毎日毎日、仕事や家事に 追われ、愛だの恋だのはハテ?どこに行っちまったんだというお疲れの諸姉諸兄に ぜひおすすめしたい。 映画は「恋とおしゃれと音楽と〜♪ 」なんである。 <icさん 投稿日2003.8.17> |
File bX 禁じられた遊び(1951年・フランス) JEUX INTERDITS 監督: ルネ・クレマン 音楽: ナルシソ・イエペス 出演: ブリジット・フォッセー、ジョルジュ・プージュリー、シュザンヌ・クールタル、ジャック・マラン この映画にも思い出がある。初めてテレビで見たのは小学校高学年の頃だと思うが、 あまりにも悲しくてボロボロ涙をこぼして泣いてしまったのである。今思えば恥ずかしい。 大の男が映画見て泣くなんて。自分は意外と涙もろいのだ、という事をその時知った。 でも、何でもかんでも泣いた訳ではない。僕が覚えている中で、見ていて泣いたのは この『禁じられた遊び』と『みなしごハッチ』の第一回放送の時だけだ。 それにしても悲しいというか、やるせない映画だったように思う。第二次世界大戦の さなか、戦火の中で両親を失ったポーレット(演じるはブリジット・フォッセー、この当時 5才だったとか)は、ミシェルという男の子の家に拾われて、彼を遊び友達として新しい 生活を始めるが、迎えがやってきて(この辺記憶が曖昧)、連れていかれてしまう。駅の 雑踏の中一人佇むポーレット、人混みの中にミシェルの面影を見つけ“ミシェル”と彼の 名を呼びながら駆け出す。そして、しまいには“ママ、ママ”と叫びながら人混みの中に 消えていくラストシーン...なんと悲しいラストシーンだろう。思い出すたびに涙が出る。 今もこうして書きながら涙が溢れてきた。涙で文字がにじんでいたなら分かって下さい。 所々で流れるナルシソ・イエペスのギターによるテーマ曲がまた悲しかった。今もモノクロ の画面にポーレットとミシェルが並んで歩く映像が目に浮かび、切ないテーマ曲がかぶ さってくる。僕が大泣きしてしまったのはラストシーンだけど、思い起こしてみればラスト に至るまで悲しいシーンの連続だったのだ。見ているうちに少しづつ涙腺が緩み始め、 ラストシーンで一気に放出される。余計な事は語らず、内に秘めた深い悲しみがジワリ ジワリと滲み出てくるような映像がたまらない。でも間違いなく、安っぽいテレビのドキュ メンタリーよりは泣けた。本当に戦争なんか嫌いだ、ってあの時思ったし。 つまり反戦を訴えた映画だったのだ。それも声高に“戦争反対!”と叫ぶのではなく、 ポーレットという幼い女の子の姿を通して静かに訴えかけてくる。効果はてきめんだった。 今でも僕は5〜6才の女の子が一人でいるのを見ると、妙に悲しくなってしまう。 で、お母さんが寄ってきたりすると安心するのだ。これも、この映画を見たことのトラウマ なんだろうか。でも、何度も言うが、本当に悲しい映画だ。これを見て泣けない人とは、 正直言って友達にはなりたくない(一緒に見てて、一人で泣いてるのもカッコ悪いし...) でも、やっぱ見るなら一人だな。 2003.8.18 |
File bP0 007/ロシアより愛をこめて(1963年・イギリス) FROM RUSSIA WITH LOVE 監督: テレンス・ヤング 音楽: ジョン・バリー テーマ曲: ライオネル・バート、モンティ・ノーマン(ジェームズ・ボンドのテーマ) 主題歌: マット・モンロー 出演: ショーン・コネリー、ダニエラ・ビアンキ、ロバート・ショウ、ペドロ・アルメンダリス ロッテ・レーニャ、マルティーヌ・ベズウィック、ヴラデク・シェイバル、ウォルター・ゴテル 第一作の『ドクター・ノオ』以来、2002年の『ダイ・アナザー・デイ』に至るまでなんと 20作を数えるという007シリーズだが、原作者も当初のプロデューサーも既に亡くなって いるというのに、40年の長きに渡って作られ続けてきた、というのは凄いことだ。それだ け全世界に愛好者が多いのだろう。日本でいうなら寅さんみたいなもんか(ちょっと違う だろ〜)。シリーズのどの作品もやや予定調和的な内容なのも、どことなく寅さんっぽい。 僕はこの007シリーズの中では、なんと言っても2作目にあたる『ロシアより愛をこめて』 が一番好きだ。というより、他の作品はどれも似ていて区別がつかない。007シリーズっ ていうと、極秘指令を受けたジェームズ・ボンドが南の島やら湖水のホテルやらへ飛び、 当地で引っかけた美女とイチャイチャしながら巨大犯罪組織の秘密を探り、島や火山の 中に建設された敵の要塞に潜入して、大暴れした後要塞を木っ端微塵にする、というスト ーリーがほとんどで、それはそれで痛快この上ないのだが、いくつか見ると、どれも同じに 思えてしまうのだ。そんな中で異色作と言ってもいいのが、この『ロシアより愛をこめて』と 『女王陛下の007』だ。特に『ロシアより愛をこめて』は再見に耐える名作と思う。何より 荒唐無稽なだけに終わっていないのがいい。 この作品には、巨大な要塞もハイテク武器も筋骨隆々のボディガードも、ついでにいうと 水着の美女も登場しない。後半、オリエント急行の車内でのショーン・コネリーとロバート・ ショウの死闘が最大の山場だと思うが、武器を使わずほとんど素手で闘っていたりする。 ダニエラ・ビアンキ演じる女スパイとのアバンチュールも、駆け引きって感じ。この作品の ボンドは自分の肉体と頭脳だけを頼りに行動してるように思えて、そこがまたカッコいい のだ。 この作品のもう一つの、というより個人的には最大の魅力といっていいのが、ダニエラ・ ビアンキだ。はっきり言って、シリーズ史上最高のボンドガールと思う。美しく気品に溢れ しかもセクシー。この映画以外には目立った作品のない、いわゆるB級女優みたいに なってしまったのが不思議で仕方がない。彼女が演じたタチアナというキャラも良かった。 最初はスパイとしてボンドに近づくのだが、結局組織を裏切ってしまい、ボンドとの刹那の 恋に身を任す。ラスト近くでは、ボンドとタチアナを追ってきた女ボスがボンドと格闘してる 時に、ボスを撃ってしまうのだ。う〜む、なんて大和撫子なんだ(これも違うだろっ)。 いやいや、ほんと、いい女ってのはダニエラ・ビアンキみたいのを言うのです。と小学生 だった僕は本気で思ってました、はい(今でも思ってます) 007シリーズと言えば、音楽も忘れてはいけない。あのボンドのテーマ曲が超有名だけど 、『ロシアより愛をこめて』の場合、主題歌も素晴らしい。007シリーズの中でも、という より映画史上に残る名曲だ。歌っているマット・モンローは、当時イギリスで人気を博して いた歌手だったそうだが、007シリーズの主題歌を歌う事が歌手にとって一種のステイ タスとなるきっかけを作ったと言えるのではなかろうか。 007シリーズの音楽はずっと(最近はどうか知らないが)ジョン・バリーが担当していて、 毎回派手な話題を振りまく主題歌の影に隠れてはいるけれど、実に素晴らしいスコアを 書いているのである。『ロシアより愛をこめて』も冒頭のメインタイトルがまたカッコいい。 ライオネル・バートの書いた主題歌をオーケストラにアレンジし、テンポも変えて実にスリ リングでドラマチックなテーマ曲に仕上げている。本当に、このジョン・バリーやジェリー・ ゴールドスミスといった人たちは職人というか、映像のイメージを見事に音楽化する手腕 には脱帽だ。モンティ・ノーマンという人が書いたとされる有名な「ジェームズ・ボンドの テーマ」はジョン・バリーが変名で書いた物だという噂もあるし、やはりただ者ではない。 007シリーズの成功の要因の一つは彼による音楽だと言っても過言ではあるまい。興味 を持たれた方は、007主題歌集と共に、ジョン・バリーの手掛けたスコア集を聴いてみる 事をお薦めする。ますます007シリーズが魅力的に思えてくることだろう。 てな訳で、主人公はカッコいいし展開はスリリングだしアクションシーンもたっぷりだし 音楽もいいし、ついでに美女は登場するしで、本当に素晴らしい娯楽映画なんである。 2003.9.11 |
File bP1 ユージュアル・サスペクツ(1995年・アメリカ) THE USUAL SUSPECTS 監督: ブライアン・シンガー 音楽: ジョン・オットマン 出演: スティーヴン・ボールドウィン、ガブリエル・バーン、チャズ・パルミンテリ、ケヴィン・ポラック ピート・ポスルスウェイト、ケヴィン・スペイシー、スージー・エイミス、ジャンカルロ・エスポジート これは面白い。文句なしに面白い。見ての通り、失礼ながらスタッフもキャストも全く知ら ない人たちだけど、とにかく面白い。聞く所によると、かなりの低予算で作られた映画 らしいのだが、巨匠やスター俳優がいなくても金をかけなくても面白い映画は作れるという 好サンプルだ。本国でも評判良かったらしく(アカデミー脚本賞を受賞している)、結構 ショックを受けた映画人も多かったのではないかな。ま、それくらい面白い映画だという ことだ(ちっともコメントになってないぞ) 内容はというと、いわゆるサスペンスだ。銃撃戦のあった現場でただ一人生き残った男が 警察の取り調べを受ける。そして、この事件の裏には恐るべき黒幕がいる事が分かって きて...彼の告白を再現しながら物語が進む形式になっており、現在と過去が入り交じ る構成だが、ストーリーがとにかく面白いので、全く気にならない。アッとのけぞるラストに 至るまで、時間を忘れて夢中になってしまう映画だ。言葉でああだこうだ言っても分かり づらいだろうし、見て頂くしかないだろう。今度レンタルへ行ったら、真っ先に『ユージュア ル・サスペクツ』を探して下さい。 余談ながら、以前“趣味は映画”という女性と話していた時、彼女が『ユージュアル・サス ペクツ』を見たことないのだが面白いのか? と訊ねるので、絶対面白いから見てごらん 、と答えた。そしたら彼女は言った“男の人はみんなあの映画は面白いって言うのね” そういう類の映画なのかもしれない。この手の映画を好むのは男なんだろうな。でも、 絶対女性が見ても面白いはず。 ま、とにかく、見て頂戴。話はそれから。 2003.9.24 |
File bP2 大脱走(1963年・アメリカ) THE GREAT ESCAPE 監督: ジョン・スタージェス 音楽: エルマー・バーンスタイン 出演: スティーヴ・マックィーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、 ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソン、デヴィッド・マッカラム、ハンネス・メッセマー どこだかの映画関連の掲示板にこう書いてあった。“『荒野の七人』が好きな男は『大脱 走』も好きだ” うむうむ、なるほど。正にその通りである。この2作品、監督をはじめと するスタッフやキャストが『荒野の七人』と同じ人が多い、という事以外にもなにか共通 するものがある。なにかこう、いかにも男好きのするドラマなんだよね。前述の掲示板の 発言にもあるように。一癖も二癖もある連中ばかりが集まって、国境の村で用心棒をした り脱走に命をかけたり、一種子供じみた事に熱中している。そんな男たちのドラマが男 たちの共感を呼ぶ。女性も登場するけど、失礼ながら大して重要な役割ではない。男の 男による男のための映画。ちょっと女性には理解し難いものがあるかもしれない。僕の 周囲にも『荒野の七人』や『大脱走』が好き、という女性は皆無だ。 内容については有名な話なんで、ご存知の方も多いだろう。第二次大戦中、ドイツ軍の 捕虜収容所から脱走を試みる連合軍兵士の物語だ(実話なんだそうだが、原作者は脱走 に成功した人なんだろうか?)。収容所から森へ向かってトンネルを掘る、という荒唐無稽 ともいえる計画にチャレンジする展開が凄いと言えば凄い。でも、みんな真剣だ。トンネル を掘る者、非常食や偽造パスポートなど脱走した後の必需品をこっそり調達する者、 それぞれ自分の任務を忠実に果たしている。正に脱走の為に一丸となっているのだ。 おかしいくらいに。トンネルを掘っている最中に落盤したりなど色々苦労しつつ、いざ完成 して外へ出てみたら、わずか数メートル森の手前だった、というのも悲しいけどちょっと 笑える。そして収容所を抜け出した連中は、脱走を真に成功させるべく逃げまくる。この 逃避行もスリリングだ。スティーブ・マックイーンがオートバイで逃げ回って結局捕まって しまうシーンなんて有名だし。結果的には成功するジェームズ・コバーンが、カフェでコー ヒーを飲んでいるとナチと思しき連中がやってきていきなりマシンガンをぶっ放し、もうこ れまでか、なんて思ったら実は変装した連合軍でホッとした、なんてシーンもあった(記憶 違いだったらごめんなさい)。 冷静に見ても、この捕虜収容所はそんなに厳しい感じではなく、外にさえ出なければ割と 自由に過ごせる所のようなのだが、それでも脱走に賭ける男のロマン。男って、きっとそう いう生き物なのだ。男たちがこの映画に夢中になり、登場人物に共感するのは、それを 無意識に自覚しているからなのだろう。 ストーリーも俳優たちも、ついでに音楽も全てが男らしい映画。それがこの『大脱走』なの である。 2003.9.25 実は最初、「荒野の七人」、「ゴッド・ファーザー」、そしてこの「大脱走」のどれに投稿 しようか、かなり迷いました。どれも大〜好き!だからです。 悩んだ挙句、「荒野の七人」は「荒野の用心棒」と同じくらい好きであること、「ゴッド・ファ ーザー」は、PART2.3も全部好きであることから、話が長くならないように(^^;「大脱走」 にしようと決めました。 さて、この映画を初めて見たのは小学校高学年で、テレビの「日曜洋画劇場」で見ました 。その頃自分は映画のほとんどは「日曜洋画劇場」で楽しんでましたが、その後も、何回 もテレビの洋画劇場でやっていて、その度に必ず見てました。 で、最初に見た時の印象は、もぅドキドキハラハラドキドキしっぱなし。 ■ドキドキシーン やっと掘ったトンネルなのに、“閉所恐怖症って・・ここまできてオマエは〜!”と、もどか しいドキドキ。 ■ハラハラシーン 予定で行けばトンネルの出口は森の中だったのに、“森の手前ってどーいうことだよ! どうすんだよ!”と、焦ってハラハラ。 ■ドキドキシーン やっとここまで脱出してきたのに、バスに乗る時に英語でカマかけられて、「ありがとう」 なんて・・“うあぁぁっ、バレちゃったじゃん、早く逃げてぇ!”とドキドキで心の叫び。 こうしたシーンは、思わず体に力が入ってました。そして鮮明に脳裏に焼き付いていて、 でも何度見ても、それらのシーンでは一瞬硬直してしまうし(笑)、決して見逃したくない シーンです。 マックィーンがバイクで逃走するシーンは有名ですが、私がこの映画を何回見ても飽きな いのは、この映画が大好きなのは、マックィーンが壁に向かってキャッチボールを始める シーンです。この不屈の精神に一番惹かれます! 打ち付けるボールの音は単調だけど、“俺は決して諦めないぜ!”って言う力強さを感じ て、自分も「負けてたまるか!」っていう強い気持ちを抱かせてくれます。 んで、この映画を見終わったあとは必ずと言っていいほど、大脱走のマーチ♪タンタン・ タンターンタタンタン♪のメロディに合わせて、意気揚々と(下手な)口笛を吹いてしまう 自分です。 <Sweetさん 投稿日2004.1.28> |